東欧の日系企業経営者がコロナショックで目にした光景。国は中小企業をどう支援すべきか
海外でコロナショックの波に巻き込まれた日系企業。今後さらなる影響が予想される製造業では、ポーランドに拠点を置く、とある中小企業がその影響から逃れようと奮闘している。
前回に続き、新型コロナウイルスによる影響や、今後の施策を語ってくれたのは、自動車や家電の大手メーカーに金属パーツを提供している日系企業、創美ポーランド取締役の浅野慶一郎氏だ。
現段階での被害は最小限に食い止めているという浅野氏だが、コロナ影響下にある異国で、どのような対策を打っているのだろうか?
——危機的状況のなかでも、今はうまく業務をこなせているそうですが、その理由は何なのでしょう。
浅野慶一郎氏(以下、浅野):「完全に人ですね。人間性がどうとかではなく、社内のコミュニケーションや透明性です。私自身も、従業員も、わからないことがあれば、あえて“空気を読まない発言”をして胸の内を共有し合う」
——直接的にコミュニケーションを取ることが難しくなっている現在、平時からそれができているかどうか、差が如実に現れそうですね。
浅野:「会社の状況や、上司が何をやっているのかわからないと従業員は不安です。そういった不安は、電波的に広がっていきます。もちろん、全部をオープンにするわけではありませんが、聞かれたことに対しては、答えます。
会社をひとつの国として考えることはよくあるのですが、国民にどういう声をかければ、かけなければいけないかはしっかり考えます。もちろん、一番大事なのは行動です。例えば、今回の騒動でも、習近平が武漢に行くこと自体がひとつのメッセージになってるな、と勉強になりました」
——一方通行な情報の発信や、具体的なアクションを起こさずにいることは、従業員の不安を増大させるだけでなく、ひいては企業の成績にも影響するということですね。リスクをステージ別にシミュレーションする他に、やらなければいけないことはなんだと思いますか?
浅野:「まだ模索しているところですが、課題は非接触のネットワーキングです。私自身、今までは“足で稼いできた”営業マンでしたが、それが絶たれたなかでどうするか。例えば今であれば、呼吸器の部品を作るサプライヤーを探していますという企業もあるはずです。
我々のような中小規模の若手企業は、ローカルでもグローバルでも、コネクションが弱い。ネットが発達しているとはいえ、田舎町の小さな企業がどうやって社会と繋がっていくか、それをどうやってやるのがベストなのか。それが短期的にやらなければいけないことだと思います。社内的にできるコストカットなどは、やろうと思えば簡単にできるんです。ただ、それだけでは会社は回らない。どうやって収入を得るかを念頭に置かないと」
——コロナショックの影響下では、真っ先にダメージを受けるのは中小企業ですからね。
浅野:「トライ&エラーができなくなったのも痛いですね。体力のある大企業には関係ないでしょうけど。我々はトライ&エラーに対して抵抗感がないのが強みだったのが、現状はエラーを許せない」
不安な時期に会社の方向性が見えるか
ネットワーキングが課題に
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