東欧の日系企業経営者がコロナショックで目にした光景。国は中小企業をどう支援すべきか

ネガティブな国民性が意外な助けに?

——業種にもよると思いますが、こと製造業の企業に対しては、一律に現金を投じるよりも流れを生むほうが大事だと。 浅野:ミクロなところを助けるには、ビジネスを通してじゃないと難しいと思います。大企業の内部留保の現預金に対して課税して、それを実際のビジネスとして回してほしいです。10%の課税でも、大手企業ならば何千億円規模のプロジェクトになりますし、『税金で取られるぐらいなら大型プロジェクトや投資に回そう』となれば、みんなに行き渡ります」 ——中小規模の企業と医療機関のマッチング、滞っているキャッシュへ課税することによって流動性を促してほしいということですね。最後に、日系企業の経営者として、ポーランド社会や現地従業員に対して感じたことがあれば教えてください。 浅野:「一番印象的なのは、コロナショックに対するポーランド人の反応ですね。ポーランド人は素がネガティブなんです(笑)。ただ、今回のコロナショックでは、『倒産だー!』となるかと思いきや、コストダウンや引き締めにも協力的で、日常生活でも制限が多いなか、パニックにはなっていません。ワーストケースを予想しながら、地道に、粛々と、割と普通に業務も生活もこなしています」

コロナ影響下で浮き彫りになった過去の歴史

——ポーランドでは、過去に国家が消滅したこともあります(注:ポーランドは4度に渡って国が分割され、消滅している)。そういう歴史も影響しているのかもしれないですね。 浅野:「そうなっても、歴史的に生き残ってきましたからね。ネガティブなんだけど、不屈の精神があるのか……。ネガティブなぶん、有事でも実装が早いんです。スーパーとかでも、すぐにレジ前の列で距離を取るためのテープを貼ったり、プラ製の壁をつけたり。  社内でも、普段は『明日も雨だろう』とか『どこかに落とし穴がある』とか言うくせに、コロナで空気が重くなると、『止まない雨はない』みたいな(笑)。自分が挫けそうなときに、みんなが頑張ろうとなるんです。そういう風にメンタルを持っていけばいいんだな、と。そういう国民性には倣うところがあると思います」 <取材・文/林泰人>
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン
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