「太陽光発電を付けたらエコ」ではない!?住宅にかけるコストの優先順位とは

毎年の光熱費がかさみ、体調を崩すといった悪循環

穴の空いたバケツ バケツ(家)が穴だらけの状態であれば、いくら省エネ家電で冷房や暖房のエネルギーをそそいでも、穴から抜けてしまうだけです。また、太陽光発電でエネルギーをつくる量を増やす場合は、注ぐ水の量を増やすのと同じなので、穴から抜けてしまうことには変わりありません。  最近では蓄電池も流行っていますが、これはバケツに水を注ぐための予備のコップを増やすことになります。いずれの場合も、まずは穴をふさがないと効果的ではないことがわかります。  しかしこれまで住宅とエネルギーをめぐる話では、エアコンなどの設備や太陽光発電のことばかりが注目され、建物そのものの性能がおろそかにされてきました。そのため、既存住宅のおよそ4割は無断熱のままで、多くの人が夏の暑さや冬の寒さを我慢する暮らしをしています。  さらに毎月の光熱費がかさみ、体調を崩すといった悪循環を招いてきました。建物そのものを見直し、家にお金をかける際の優先順位を変えることで、その流れを断ち切ることができるようになります。

住宅の設備の耐用年数は10年前後

住宅設備の耐用年数 優先順位を考える際には、それぞれの耐用年数を知っておくことも大切です。家電にしても太陽光発電にしても、設備の寿命は長くはありません。  エコキュートなどの給湯器は10年前後、エアコンも10年から15年、太陽光発電のパネルそのものは一般的には20年以上使用できますが、パワーコンディショナーの寿命は10年程度です。  そして、リチウムイオン蓄電池は6年から10年程度です。ほとんどの家電や設備は、10年から15年ほどで交換する必要があることを覚えておきましょう。  一方で、建物はしっかりつくれば60年〜70年は使用できます。壁や床、天井に入れた断熱材は、きちんと施工されていれば同じ期間使うことが可能です。  注意点としては、断熱材を厚くするといった工事は、新しく家を建てたり大規模リフォームを行ったりする際に限られることです。そのため、新築時やリフォーム時では、後からいくらでも替えられる設備機器ではなく、断熱を重視することが大切です。
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非常時にも強い環境を作る
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