射精はオーガズムではない?「男らしさ」を超えた本当のオーガズムの先にあるもの
オーガズムとは筋肉運動である
前立腺がオーガズムへの鍵
昨今、「メスイキ」や「ドライオーガズム」という名の下、前立腺開発が注目を浴び始め、アネロスやエネマグラといった前立腺マッサージ器具が男性用性具として売られている。
蛇足だが、もともとこれらの前立腺マッサージ器は前立腺諸症状を緩和する為に開発された医療用器具である。利用者から、オーガズムの誘発作用が報告され、性具として広く認知され利用されるようになった、とのこと。
前述したラヴィン氏の研究によると、アネロスを利用した63歳の被験者は性的幻想の有無(ポルノによる性欲の誘発)に関わらず、オーガズムを迎え無意識の内に全身の筋肉の縮小と震えを経験したとある。
この男性は2ヶ月のアネロス使用後、アネロスによるオーガズムがとても依存度の高いものだと認識し、その使用をやめたとのこと。ちなみにこの被験者はアネロス使用時にうつ伏せになってコンドームを着用していたが、現在はアネロスを使わずにうつ伏せでコンドームを着用しただけでオーガズムを迎えることができるとのこと。
ラヴィン氏も今後の課題として記しているが、オーガズムと脳の関係性は未だ解明されていない。ラヴィン氏の被験者の男性が性欲の誘発の有無に関わらずオーガズムを迎えることができたのはとても興味深い。
オランダ、グローニンゲン大学の脳科学者、ガート・ホルステージ氏の研究(2005)では、オーガズム時は男女問わず、脳内の行動調節・不安・恐怖心と結びついている脳の領域が停止する、とのこと。無論、男性のオーガズム(ここでは一般的な射精)が一時的なものに対し、女性の方がその領域は広く長時間にわたる。
これは仮説だが、性行為の準備段階に副交感神経が優位でリラックスしていなければならないのであれば、不安や恐怖心を取り除いたところに、オーガズムのきっかけがあると考えられる。
AV監督の代々木忠氏はその著書「プラトニック・アニマル」(幻冬社 1999年)の中で本当のセックス はエゴを捨てたところにある、と記している。もしかしたらここに社会的な難しさがあるのではないのだろうか。
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