タカス / PIXTA(ピクスタ)
デサントに対し伊藤忠が、廣済堂に対し旧村上ファンドが敵対的TOBを相次いで仕掛けた。今、再び敵対的買収が増え始めている……
近年、敵対的な買収が増えている背景として、
①経営方針に反対(参照:
半世紀に渡る提携関係から伊藤忠がデサントを敵対的TOBした背景とは?)
②スチュワードシップ・コード(責任ある機関投資家の行動規範)(参照:
帝国繊維に「株主重視」路線を迫った「2つの行動規範」)
③割安放置(参照:
敵対的買収増加。ハゲタカイメージで毛嫌いされるファンドだが今は少し違う!?)
といった理由がある。そして、今は敵対的な買収が当たり前の時代となっている。企業の経営権を握ろうと思うと大量の株を買い集めなくてはならず、その手段がTOBであり、当然、多額の資金が必要になる。そんな芸当ができるのは、伊藤忠のような大企業や、世界中で荒稼ぎする投資ファンドのみ……。そう思うのも無理はないだろう。
しかし、「大株主にならなくても企業経営に参画することは誰にでも可能です」と話すのは、総利益3億円を株式投資で運用する億り人のかぶ1000氏だ。
「上場企業の株を買って、各企業が定めている権利確定日に株主として株主名簿に掲載されれば、『議決権行使書』が送られてきます。この書類で取締役の選任や経営に関する議案への賛否を表明することができるのですが、恐らく賛否に丸をつけて返送している人はあまりいないのではないかと思います。これは国の政治や選挙と同じで、『どうせ自分の1票なんて……』と思って若者が投票をしないと、高齢者寄りの政治が行われてしまう。株も一緒で、議決権を行使しないと、経営者の好き勝手な経営ができてしまう。たとえ最小単元の100株の株主でも『企業の所有者』であることに変わりはないのだから、しっかりと議決権を行使して意見を表明することが大事だと思います」
また、IRに直接電話することも有効だ。別のある個人投資家は、ラーメンチェーンの丸千代山岡家の株を買った後、株主優待がないことに対し、「御社は株主優待を導入するお考えはありますか?」と企業に直接メール。すると、「そういうことも視野に入れている」という返事があり、その後、優待が新設されたことがあったという。