半世紀に渡る提携関係から伊藤忠がデサントを敵対的TOBした背景とは?

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photo by Rs1421 via Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)

 デサントに対し伊藤忠が、廣済堂に対し旧村上ファンドが敵対的TOBを相次いで仕掛けた。今、再び敵対的買収が増え始めている理由は何か? その背景に迫った。

強い関係があった伊藤忠はなぜデサントを「敵対的TOB」したのか?

 デサントと伊藤忠の蜜月は’64年の業務提携から始まった。’80年代には伊藤忠が資本参加、デサントの過去2度の経営危機も伊藤忠の支援で乗り切ったという強い関係があった両社。にもかかわらず、敵対的TOBに発展した経緯をエコノミストの永濱利廣氏は次のように説明する。 「伊藤忠は売上高の8割を韓国に依存するデサントの収益構造を問題視し、中国事業強化による業績成長路線を主張していました。しかし、デサント経営陣は耳を貸さなかった。さらに、デサントは投資ファンドと組んで、株主から株式を買い戻して非上場化も模索。このようなデサントの経営方針に反対したのが、今回の敵対的TOBが起きた原因となっています」  なぜ伊藤忠はTOBが必要だったのか。早稲田大学大学院経営管理研究科教授・鈴木一功氏は理由を説明する。

約50%のプレミアム株価を提示、投資家の売却希望が殺到

「発行済み株式の33%超を取得すれば株主総会で特別決議拒否権を持つことができ、50%超を取得すれば社長をはじめ役員を選任でき、事実上の経営権が手に入ります」  伊藤忠はデサント株を30.44%も保有する筆頭株主だったが、それを40%まで高めると宣言。買付価格は、時価よりも約50%のプレミアムをつけた株価を提示したため投資家の売却希望が殺到し、日本の大手企業初の敵対的買収はあっさり完了した。ある株式市場関係者はこう話す。 「デサント商品を扱う中国スポーツ用品大手の安踏(ANTA)の関係会社がデサント株を7%ほど保有していて、伊藤忠は既に接触している。両社を合わせると47%近い。すべての株主が議決権を行使するわけではないから、議決権行使レベルで半数超の株を保有していることになり、事実上の経営権を握ったも同然。50%超を持つと明確な買収意図があるが、伊藤忠が40%でとどめたのは、白黒つけない日本的気質なのだろう」
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