安倍政権の拉致問題への取り組みを、蓮池氏はどう見ているのか。
「拉致問題が重要であることは言わずもがな。私が15年来訴えてきた『対話路線』に安倍政権が今シフトしたかのように見えますので。私には腹案がありますが、今は政府の対北朝鮮政策を静観していきたい」
蓮池氏が衆参どちらから出馬するかについては、山本氏は明らかにしていない。
「公示・告示の前日までに答えを出せればいい。そこまでは行かないとは思いますが、私たちの力が最大限に発揮できるような布陣を取っていきたい」(山本氏)
山本氏も、東京選挙区・比例区のどちらを選ぶか、旗幟を鮮明にしていない。
「私が東京選挙区から出るのか出ないのかで、既存政党の中でキリキリされている方がいると聞いています。それはもうご自由にキリキリしていただきたい」(山本氏)
蓮池氏の場合は山本氏の一本釣りだったが、れいわ新選組では候補者の公募も行っている。応募数は現在、衆参合わせて119人。今後も候補者の選定は二段構えで進めていくという。
「今、アプローチをかけようとしている方は複数います。自分の中では『まず、蓮池さん』というところがあったので。ここから先、すでに接触している方もいるし、これから会う予定の方もいる。順次お願いしていくという形が一点。
参院の中で最大化していくにしても、衆参同日選を考えるにしても、とにかく候補者の数は必要になってきます。公募の中からも、集まった寄付の中から可能な限りは擁立していきたい。
私が候補者としてお願いしたい人はさっきも言った通り、『本気の大人』。『政治家ですから、腹芸くらいできますわね』というような人は除外していきたい。何の役にも立ちませんから。世の中が壊れていくスピードに対して、ブレーキにもならない。加速させるしかないという人、今までのスケールで政治を語る人は避けたいです」(山本氏)
山本氏は「政治の素人」と呼ばれ、見られてきた。
「世の中を見ても、『ミュージシャンが政治を語るな』とか、『お笑いが語るな』とか。だとしたら、誰が語れるんですか。じゃあ、政治の『プロ』に任せてきて、この国はどうなりましたか。
20年も30年もデフレが続いているのに。その人たちは本当にプロなんですか。国民に対してDVを加えるプロかもしれませんが、決してこの国の人たちを幸福にするような大鉈は振るえていない。
それならば、当事者としての思いがあったり、ある分野での専門家であったりするような人を擁立していくのが一番重要かなと」
候補者発表会見の定番である党首と当人が握手した写真撮影はこの日なかった。山本氏が段取りを忘れ、蓮池氏が会見場を後にしてしまったためだ。予定調和と同調圧力から距離を置いた動きが始まっている。もはや未来は現在の延長線上にはない。
<取材・文/片田直久>