選挙はネット世論操作の主なターゲットであり、アフリカにおいても例外ではない。最近ではナイジェリア(注1)、ケニア(注2)、南アフリカ共和国(注3)などの選挙におけるネット世論操作が話題になった。ナイジェリアでは選挙に先立って国際的なファクトチェック組織First Draftの協力のもと、国内16のメディアがCrossCheck Nigeriaというプロジェクトを立ち上げたが、それでの多くの困難に直面することとなった。
自動的にフェイクニュースなどを拡散するボットは、ケニア、レソト、ギニア、セネガル、ルワンダ、ソマリア、エジプト、アンゴラで確認されている(注4)。
ケニアの選挙ではアメリカ大統領選で話題になったネット世論操作企業ケンブリッジ・アナリティカも関与していたこともわかっている(注5)。
すでに世界の主な選挙においてネット世論操作は「必ず」行われるものであり、アフリカも例外ではないということだ。組織的に世界の他の地域で用いられた最新の攻撃手法を使って仕掛けてくる。
フェイスブックは2019年に実施されるアフリカの15の国の選挙に先だって対策を打ち出している(注6)。
(注1)ナイジェリア:
『How fake news was weaponized in Nigeria’s elections』(CNN、2019年2月15日)、
『Nigerian elections 2019: The spread of false information』(BBC、2019年2月14日)、
『Nigerian media houses are forming a coalition to combat fake news ahead of next year’s elections』(Quartz、2018年11月29日)
(注2)ケニア:
『Kenya’s Election Proves Fake News Is A Serious Threat To International Security』(Forbes、2017年8月14日)
(注3)
『Facebook to focus on election integrity ahead of South Africa’s national elections』(iAfrikan、2019年4月19日)
(注4)
『How social media bots became an influential force in Africa’s elections』(Zimtimes、Quartz、2018年7月18日)
(注5)
『Here’s how Cambridge Analytica played a dominant role in Kenya’s chaotic 2017 elections』(CNBC、2018年3月23日)
(注6)
『Facebook, WhatsApp Fight Fake News Ahead Of 2019 Elections In 15 African States』(Zimtimes)
アフリカではネット世論操作の問題とジャーナリズムの重要性が認識されており(残念なことに日本ではほとんど認識されていない)、早い段階でファクトチェック組織の設立などが行われた。
アフリカの複数の国をカバーするファクトチェック組織
Africa Checkは2012年に設立されており、
日本唯一のファクトチェック組織ファクトチェック・イニシアティブより5年も早い。
2019年6月にアフリカのケープタウン大学で開催される
第6回Global Fact-Checking Summit においても、Africa Checkはグローバルリーダーのひとつとして紹介されている。
その他の国にもファクトチェック組織があり、ジャーナリストやメディアと連携を取りながら活動している。
東アフリカ諸国のファクトチェックを行っている組織としてケニアを拠点にする
Pesa Check がある。 International Budget Partnershipの支援を受けている他、アフリカのデジタル・ジャーナリズム・トレーニングを行っている
CODE for AFRICAのケニア、タンザニア、ウガンダの支部からもサポートを受けている。ナイジェリアには
Dubawaというファクトチェック組織がある。