3月1日21時すぎ、官邸前(国会前)抗議集会でスピーチをする元シールズメンバーの元山仁士郎さん。この日は個人として参加し、スピーチ後に「安倍辞めろ!」コールはしなかった
3月1日夜、「安倍は辞めろ!」「辺野古は埋めるな!」というコールとドラムの音が鳴り響き、官邸前が多数のデモ参加者で溢れた。警備のため、ずらりと立ち並んだ警察官が通行制限をしている。そんな中、「『辺野古』県民投票の会」代表の元山仁士郎さんがマイクを握ってこう切り出した。
「今日はあくまで個人として参加しています。さっきまで玉城デニー(沖縄県)知事と、日本外国人特派員協会で記者会見をやっていました。ちょっと(官邸前の)警備が過剰すぎるなと思って、後ろのほうから上がって来ました。参加者の方々も警察の方も、少し落ち着いていただいて、もう少し私たちが声を上げやすい場を作ってもらえたらなと思います。よろしくお願いします」
元山さんはかつて、安保法制に反対して官邸前(国会前)の大規模な集会を主催した学生団体、SEALDs(シールズ)のメンバーだった。元山さんはこう続けた。
「残念ながら、沖縄県が示した意思はまだ形になっていません。今日は『辺野古埋め立てを止めろ』という県民の意思をしっかりと聞いてほしいという思いで、参加された方が多いと思います。
今日も『安倍辞めろ!』というコールで盛り上がっていたと思います。自分自身も3年前、シールズをやっていた時にはそういったコールをしていました。その気持ちはすごく分かります。
しかしながら『安倍政権が一強だ』と言われている今、『安倍さんがこの沖縄の意思をしっかりと聞いてくれるのだったら』という思いも持っています。もちろん安倍首相が聞いてくれない、あるいはウソをつくなど、信用できないことは分かっています。
それを変えられない現実も受け止めてほしいと思います。今日、『もっと多いかな』『沖縄の声を聞いてくれる人は、東京にもっといるのかな』と思って来ました。これじゃ、まだまだですよ。こんなんじゃ沖縄の声、安倍さんは聞いてくれないですよ。菅さんも聞いてくれないですよ」(元山さん)
安倍首相をはじめ、与党国会議員が方針変更(辺野古埋め立て工事中止)する可能性を最初から排除しないということが、「安倍辞めろ!」コールをしていたシールズ時代の元山さんとの違いだった。
元山さんが「安倍辞めろ!」コールをしなくなったのはなぜか
官邸前(国会前)抗議集会では「安倍辞めろ!」「辺野古を埋めるな!」のコールが繰り返されたが、元山さんはコールしなかった
元山さんはこの日の集会で、参加者と一緒に「安倍辞めろ!」コールをあげることはしなかった。そんな彼に素朴な疑問をぶつけてみた。
――元山さん、安倍一強を崩すのは難しいということですか。
元山さん:まだまだじゃないですか。
――参院選で野党が結集して、自民党を大敗させる可能性はあると思いますか?
元山さん:もちろんそうなればいいと思いますが、分かりません。頑張ってほしいと思いますが。
――3年前のシールズの時とは微妙に心境が変わっているのですか。
元山さん:そんなに変わらないですよ。
――さっきは(スピーチの後)コールもしなかったし、心境の変化があったのかと思ったのですが。
元山さん:いやいや、スピーチで言いたいことを言ったので。それでいいやと思いました。