毎月勤労統計への2015年の官邸介入は、サンプル入れ替えに伴う遡及改訂をやめさせることが狙いだった

逢坂議員とのやり取りで明らかになった「官邸の問題意識」

******(文字起こし、ここから)************** ●逢坂誠二:  立憲民主党の逢坂誠二でございます。きょうは、それぞれの公述人の皆さんから大変貴重な話をいただきまして、ありがとうございます。  特に、江口所長から、現場の実態、現状に基づく非常に貴重な御意見をいただきました。さまざまな思いを、めぐらさせていただきました。本当にありがとうございます。  それでは、何点か質問させていただきます。  まず、上西公述人にお願いをしたいんですけれども、今回、毎月勤労統計、これは部分入れかえ方式に変わったということ、ただし、それは遡及して影響を及ぼさないということにしたわけですが、このことによって、どんな影響といいましょうか、課題、問題が考えられるか、教えていただけますか。 ●上西公述人:  まず、配付資料の11ページをごらんいただきたいんですけれども、この11ページは、2015年10月16日、第16回の経済財政諮問会議、こちらの方に麻生大臣が提出した資料(資料4)で、真ん中のところに毎月勤労統計のグラフがありますけれども、サンプルを入れ替えると、その前のところですね、「遡及改訂により既発表値から下方修正」と書いてあります。
麻生議員提出資料4

出所:「第16回経済財政諮問会議」(2015年10月16日)
資料4 企業収益等の動向/基礎統計の更なる充実について(麻生議員提出資料)

 サンプルを入れ替えると、入れ替えの後についても賃金が下振れ傾向になるんですけれども、それ以上に大きい問題が、過去にさかのぼって遡及改訂をすることによって、(過去の)賃金(水準)が下振れをする。  このことが、2015年の3月と2015年の9月に、官邸の介入があったのではないかという時の、一番大きな問題意識だったと思うんですね。  今、国会の審議、やりとりを見ていますと、(厚生労働省の「毎月勤労統計の改善に関する検討会」の)阿部(正浩)座長が日経新聞の取材に対して、記事(※参照:「官邸関与『精度向上が目的』 勤労統計の有識者検討会座長」日本経済新聞2019年2月21日)になっていて、いや、サンプルを入れ替えても賃金が別に上がるとは限らないんだというような発言をされていて、それを引いて、安倍首相が、いや、サンプル入れ替えで、そんな、アベノミクスのために賃金を上振れさせるような意図はないんですよ、みたいなことを答弁されているんですけれども、問題はそこにあるのではなくて、むしろそれは何か問題を攪乱させるような答弁だなというふうに思うんですけれども、過去の賃金(水準や過去の伸び率)が遡及改訂によって実績として下がってしまう、値が下がってしまう(ことが問題だと意識されていたわけです)。  先ほども申し上げましたけれども、2015年の1月時点からサンプル入れ替えによって、2014年の10月、11月の名目賃金の伸びがプラスからマイナスに変わった、これが非常に大きな問題意識だったんだと思うんですね。そういうことがないようにしたい、過去の、せっかくあった実績が、無になってしまうような、そういうことがないようにしたいというのが、サンプルの全入れ替えと遡及改訂をやめたいと、いうことだったと思うんですね。  2月の4日の(衆議院予算委員会における)小川淳也議員と麻生大臣のやりとり(※参照:【高画質版】#国会パブリックビューイング 政府統計不正問題 緊急街頭上映・新宿駅西口地下/2019年2月6日 49分30秒~)というのが非常に重要だと思っていまして、今、ご紹介した、経済財政諮問会議の、ここでの麻生大臣の発言というのは、いや、段差が起きるのが問題なんだ、だからこの段差を何とかしろという発言だというふうなことを答弁されたわけですけれども、でも、そのときに、段差があって、サンプル入れ替えで、上がったり下がったりするんだと、おっしゃいましたね。麻生大臣が。それに対して小川淳也議員が、いやいや、下がるんです、と。上がったり下がったりではなくて、必ず下がるんです、と。これまでの、景気のいい時も悪い時も、過去の実績を見たら、すべて下がっているんです、という風におっしゃった。  それは非常に重要な指摘で、要するに、上がったり下がったりするから、より正確な(統計数値が必要だ、ということ)、ではなくて、下がることに対する問題意識があったんですね。下がるということは、過去の実績が、フイになってしまうということ。  だから、段差を単に滑らかにするだけだったら、別に過去を修正すればいいんですよ。補整をすればいい。だけれども、過去の補正によって、さかのぼりの修正によって、過去の実績が無になってしまわないためには、補正をしなくていい方式にしたい。そのためには、全入れ替えではなくて、部分入れ替えにして、より滑らかにしたい、というようなことが、2015年3月(と)、2015年9月の問題意識だったと思うんですね。  これは、中江秘書官も姉崎部長も、同じようにそういう、プラスからマイナスにひっくり返ってしまうということに対する問題意識を語っていますし、安倍首相も、昨日までの数字がいきなり変わるというようなことに問題意識を答弁されている。  それは、要するに、過去の数字が変わるということなんですよ。だから、これからの数字をよくしたいではなくて、過去の数字が悪くならないようにしたい。  ただし、そのときに重要なのは、厚生労働省の毎月勤労統計の(改善に関する)検討会の議事録。私も全部理解したわけではないんですけれども、あれを見ていると、(2015年8月7日の)第5回の議論では、部分入れかえの方式も議論されているんだけれども、じゃ、部分入れ替えしたときのギャップ修正はどうするんだ、要するに補正はどうするんだという議論もしているんですね。部分入れ替えだから補正はしなくていいという議論ではないんですよ。  で、結論のところでは、何か、(2015年9月16日の)第6回でいきなり変わって、部分入れ替えも検討するになっていますけれども、でも、だからといって補正をしなくていいという議論でもない。そういう結論も出ていないんですね。  だから、部分入れ替えという選択肢が無理やり入れられて、結局のところ、2018年の1月(分)から部分入れ替えにして、かつ、過去の補正をしないということになったんですけれども、これはどこかの過程でそういうふうに、専門家の検討なしに曲げられている可能性もあるんじゃないかなと思うんですね。  私、統計委員会の方の議論をちょっと十分に追えていないので、そこはぜひ追及していただきたいと思うんですけれども。
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アベノミクスという虚像の「弱点」
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