農産物などコモディティ銘柄は「リーマン直後の安値」突入に注目せよ

世界の自動車販売台数

世界の自動車販売台数

中国の景気や欧米のEV化がカギに

 これに対し、トーキョー・トレーダーズ・タイムズの小針秀夫氏は、天然ゴムに対して異なる見解を持つ。歴史的な安値圏にあるという見方は同じなのだが、下落余地を残している可能性があると警戒する。 「商品価格は需要と供給の関係が価格を決める重要な要素となりますが、天然ゴムはこの需給が改善する見込みに乏しい。むしろ今以上に悪化する要因が多くあります」  そのひとつが、中国の景気だ。小針氏によると天然ゴムの用途は8割が自動車のタイヤ向け。地域別でみると4割が中国で消費されている。このため、中国の景気や自動車販売台数が重要な指標になるのだが、’18年の中国の新車販売台数は通年で28年ぶりとなるマイナス成長が予想されている。米中貿易戦争の影響もあり、事態が好転する見込みがほとんどないという。 「需要が減っても原油のように生産国で話し合って減産すれば価格下落は抑えられますが、天然ゴムの主要生産国であるインドネシアは財政赤字の影響で通貨ルピアが大暴落して20年ぶりの安値をつけており、それどころではない。むしろ輸出攻勢をかけており、主要国間で減産の足並みがまったくそろわないのです」  コモディティ価格と生産国の通貨は連動する傾向があり、現在天然ゴムとインドネシアルピアは、そろって下落している。一方の下げがもう一方の下げを招く負のループに入っていると小針氏は指摘する。 「天然ゴム相場が歴史的な底値圏にあることは事実であるため、積極的に売り込むのはリスクがありますが、さまざまな要因を考えますと、引き続き戻り売り主体の逆張りの投資戦略が有効でしょう」 《ゴムの変動要因》 ●米ドル・円相場 ●自動車生産台数 ●合成ゴムの価格 ●東南アジアの天候 ●乾期の生産量
次のページ
農作物は世界的安値だが…
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会