裁量労働制実態調査、やはり「不都合なことは聞かない」設計に! 調査票改定案を緊急提言

今ならまだ、変更は間に合う

 この指摘を行った伊藤圭一氏も筆者も、調査票をみずから作成して大規模調査を実施した経験がある。その経験を踏まえれば、このように付問形式で一部の対象者にしか問わない形式だと、非常に限定された回答者の回答結果しか得られないことは容易に想定できる。それは検討会の構成員の方々にも、事務局である厚生労働省の方々にも、容易に想定できる事態だろう。  不都合な実態が明らかになりにくいように、あえてこのような付問の形式をとったのかどうかは定かではない。しかし、この検討会の役割は、裁量労働制の実態を適切に把握する実態調査を行うことであって、裁量労働制の拡大という「結論ありき」の方向性に合う結果を出す(そして、不都合な結果は出ないようにする)実態調査を行うことではない。そのことは初回の検討会の場で、しっかりと確認されたことだ。  であるならば、今、調査票案を修正すべきだ。今ならまだ、間に合う。第4回の検討会で、いったん調査票はほぼ確定したものとされているが、最終的な調査票案については、座長と事務局(厚生労働省)で改めて検討した上で、各構成員にもはかると語られていた。実際の調査は来年度に入ってからだ。  事務局である厚生労働省と検討会の構成員の方々には、ぜひ真摯に、この記事の指摘を受け止め、調査票案の見直しに着手していただきたい。 <文/上西充子 Twitter ID:@mu0283> うえにしみつこ●法政大学キャリアデザイン学部教授。共著に『就職活動から一人前の組織人まで』(同友館)、『大学生のためのアルバイト・就活トラブルQ&A』(旬報社)など。働き方改革関連法案について活発な発言を行い、「国会パブリックビューイング」代表として、国会審議を可視化する活動を行っている。『緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説 「安倍政権が不信任に足る7つの理由」』の解説、脚注を執筆。
Twitter ID:@mu0283 うえにしみつこ●法政大学キャリアデザイン学部教授。共著に『大学生のためのアルバイト・就活トラブルQ&A』(旬報社)など。働き方改革関連法案について活発な発言を行い、「国会パブリックビューイング」代表として、国会審議を可視化する活動を行っている。また、『日本を壊した安倍政権』に共著者として参加、『緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説 「安倍政権が不信任に足る7つの理由」』の解説、脚注を執筆している(ともに扶桑社)。単著『呪いの言葉の解きかた』(晶文社)、『国会をみよう 国会パブリックビューイングの試み』(集英社クリエイティブ)ともに好評発売中。本サイト連載をまとめた新書『政治と報道 報道不信の根源』(扶桑社新書)も好評発売中
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