来年2月24日には辺野古基地建設の是非を県民に問う「県民投票」が行われますが、その予算案を否決する自治体がいくつか出てきているので、どうなっているのかをチェックしたいと思います。
辺野古基地のある名護市は野党13人が賛成し、公明1人と自民系12人が反対となり、県民投票の関連予算は可決しました。一方、普天間基地のある宜野湾市では「普天間基地の固定化につながる可能性がある」という理由で否決。辺野古基地の建設に賛成なら賛成と投票することができるのに、沖縄全体では反対の方が多いはずだと考えているため、住民の意見は問わないという決断をしました。
自民党系の政治家が多いエリアでは続々と否決の判断が出ていて、沖縄市、うるま市、糸満市でも関連予算は否決されています。うるま市は2年前に女子大生が米軍関係者にレイプされた末に殺害された場所であり、糸満市は「ひめゆりの塔」や「平和祈念公園」がある場所です。そんな所でも基地建設の是非を問う県民投票をしようという提案に、議員たちが「やらない」という決定を下してしまうことが、現代のニッポンがいかに戦争に近いところまで来ているのかを象徴していると言えます。
人々が「政治に口を出さない」ということを口酸っぱく教育されてきたばっかりに、ポンコツな政治家がたくさん誕生し、「県民の意見を聞かない」ということを簡単に決定してしまうような議会が成り立っているということです。基地に賛成するか反対するかを問うているのではなく、住民の気持ちを直接確かめようという機会を作ることに反対しているのですから、いよいよ深刻なところまで来ています。
これまで「政治的な発言はタブー」という空気を作り出し、おかしいことに「おかしい」と言ってこなかったせいで、まったく仕事をしないゴミみたいな政治家がたくさん生まれています。
僕は「選挙ウォッチャー」として、とんでもないポンコツ政治家たちを一歩踏み込んで炙り出していますが、そのバカさ加減は、人々の想像を超える次元に到達しています。サイバーセキュリティー担当大臣がUSBもハッカーも知らないまま年を越してしまう日本なのです。
普通だったら翌日にクビになっていなければならないのに、ワイドショーもワイドショーで責任を追及せず、「今年の漢字は何ですか?」という質問をしているのです。すべては「政治的な発言はタブー」という空気を作り出してきた結果なのですが、みんなで政治のことを考え、ケンカをしてでも居酒屋で話し合わなければ、この国が良くなることはありません。
しかも、もしローラさんが「うーん、辺野古基地はどんどん埋め立てたらいいと思うの!」とか言っていたら、きっと「政治的な発言」とは言われなかったことでしょう。要するに、「お上の考えと違うことは言うな」と言っているのです。ネトウヨは中国の言論統制をバカにしていますけど、日本は罰則があるわけでもないのに、メディアを使ってお上の考えと違うことを言ってはいけなかったのです。それがSNSの普及によって、メディアを通さなくてもできるようになってしまったものだから、言論統制を担うネトウヨ言論人たちが大騒ぎして、B層ネトウヨたちにバッシングさせているのです。
ネトウヨが何を言おうと、思ったことをどんどん発信していくべきです。そうすれば少しずつみんなが思っている「こうなったらいいな」に近づいていくはずです。
<取材・文・撮影/選挙ウォッチャーちだい(Twitter ID:
@chidaisan)>
ちだい●選挙ウォッチャーとして日本中の選挙を追いかけ、取材活動を行う。選挙ごとに「どんな選挙だったのか」を振り返るとともに、そこで得た選挙戦略のノウハウなどをTwitterやnote「
チダイズム」を中心に公開中。立候補する方、当選させたい議員がいる方は、すべてのレポートが必見。