子どもたちを振り回す「2世」という鎖<短期集中連載・幸福の科学という「家庭ディストピア」2>

藤倉善郎

教祖2世と信者2世

 前回触れた宏洋氏も教団や親からの悪影響に悩まされる立場だが、Bさん(前回参照)とも、河口湖町の少年の家庭とも、かなり境遇が違う。  宏洋氏が高校に入学した時、幸福の科学学園はまだなかった。大学に入学した時、HSUはまだなかった。彼は青山学院大学法学部卒という一般的な学歴を手に入れ、学校法人幸福の科学学園の副理事長も歴任した。  今年10月に教団の施設を追われた宏洋氏は、すぐにマンションに居を移した。その時点で、仕事はないものの貯金は2000万円ほどあると、宏洋氏自身が明かしている。  宏洋氏は一時、教団を離れ3年間、清水建設に出向していたことがある。宏洋氏によれば、給料は清水建設ではなく教団持ち。教団側によれば、当時「20代のサラリーマン」に過ぎなかったはずの宏洋氏はベンツを乗り回し、麻雀やゴルフに興じるなどの生活を送っていたという。  Bさんの親は、Bさん名義で借金を重ねようとした一方で、100万円もする幸福の科学の本尊を買い自宅に飾っていた。幸福の科学は、こうした高額なグッズは「売る」のではなく、奉納目安と呼ばれる金額を布施した信者に「下賜」しているのだと称している。Bさんから見れば、宏洋氏は成人してもなお、こうした信者の布施で贅沢な生活してきた元幹部だ。 「宏洋の最初のYouTube動画を見た直後は、一日中、憎しみと悔しさを感じました。ですが彼の生い立ちを思うと同情します。生まれた家が大川隆法の家だっただけのことでしょう。カネで解決させてきたことも多いかと思いますが、特に学生時代、我慢したり出来なかったこと、させてもらえなかったことが多いと思います。見ず知らずの歳上の職員に監視されていたように思うんです」(Bさん)  12月8日、宏洋氏はフジテレビの深夜番組「真夜中の事件簿」に出演。中学受験に失敗した際、自宅内の家族のフロアにあった自室を取り上げられ、教団職員らが常駐する1階のスタッフルームのような部屋に追いやられたエピソードなどを語った。 『ザテレビジョン』の予告記事では、「監視カメラが付けられた子供部屋、お付きの人だらけの家族旅行」といった記述もあったが、番組に教団からの圧力でもあったのか、このエピソードは放送されなかった。  放送後、幸福の科学のある元職員がネット上で、1991年に大川総裁一家がディズニーランドに遊びに行った際のスケジュール表を暴露した。大川総裁、当時の妻・きょう子氏、宏洋氏、きょう子氏の母(大川総裁の義母)の4人でのディズニーランド行きに、8人もの教団職員が随行。まさに「お付きの人だらけの家族旅行」。神のエレクトリカル大名行列か。
大川総裁一家DLツアー予定表

元職員が公開した、1991年の大川総裁一家の「ディズニーランドご観覧スケジュール」

「これは教祖の子供ならではの苦しみかと思います。私は幸福の科学学園時代に、教団の“ゴールデンエイジ”を担う子どもとして実績を残すように言われ続け、勉強ばかりさせられました。学園の寮では、ハウスペアレントに私物を全てチェックされるような生活でした。宏洋は実家でずっとそういう調子のことをされながら育ったのではないかと思うんです」(Bさん)  幸福の科学は、「西暦2020年頃から2037年頃にかけて、日本が黄金時代を迎える」と「予言」している。それが、Bさんのコメントにある「ゴールデンエイジ」だ。2010年に開校された幸福の科学学園(栃木県那須町)、2013年開校の同関西校(滋賀県大津市)、2015年に開設された前出のHSU(千葉県長生村)。いずれも、ゴールデンエイジを担う若手信者(多くは、信者である親を持つ2世、3世の信者たち)育成に向けた教団の一大プロジェクトの支柱だ。  Bさんのような学園生は、教団、教祖、親、他の信者たちから、こうした「期待」をかけられて育てられている。「期待」と言えば聞こえがいいが、これに疑問を感じる当人にとっては、「宗教的な束縛」であり「他者の都合によって支配された人生」だ。 「宏洋は決して馬鹿ではないと思いますが、幸福の科学をやめた元信者の皆さんが指摘しているように、信者の金でかなり遊んで歳を重ねてきたツケは今後回ってくるかもしれません。それでも私は、2000万円の貯金などについて非難する気持ちも、“信者に返せ!”と言いたい気持ちもありません。宏洋は、大川隆法に反発するということがどういうことなのか、29年間生きてきてわかってるはずです。その上で、今後、仕事を見つけ金を稼いで、元妻と子供に養育費を払いながら教団と戦うわけです。自分が幸福の科学に批判的な人からも批判される部分があることは、本人もわかっているでしょう。貯金が2000万あっても、それで楽な人生を送れるわけではない気がします」(Bさん)  教祖の子どもと一般信者の子ども。具体的な境遇は違うが、親ばかりか教団からも人生を振り回される点は共通している。
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自身も「2世」だった大川総裁
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