やはりどう考えても改正入管法が「現代の奴隷制」だとしか思えない件

入管法の改正「その必要はない」が64%

 朝日新聞社が11月17日と18日に実施した全国世論調査では、外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法の改正案を今国会で成立するべきかどうかを尋ねたところ、64%が「その必要はない」と答え、「成立させるべきだ」という人は22%でした。  国民の過半数が「必要ない」と考えているのに、まったく話し合うことなく強行採決に踏み切っているのですから、世論をまったく無視していると言えます。ちなみに、外国人労働者の受け入れそのものについてどう思っているのかという点では、賛成が45%、反対が43%となっており、かなり拮抗しています。  そもそも外国人労働者を受け入れるかどうかについても賛否あり、どちらにしても時間をかけて話し合わなければならないはずなのに、時間をかけて話し合うより強行採決してしまった方が世の中に騒がれないで済むとでも思っているのでしょう。しかし、そうやって国民の声を聞かずに自分たちのやりたい放題をやっていると、絶対にそのしわ寄せがやって来るのです。しかも、そのしわ寄せは安倍政権に来るのではなく、僕たち国民に襲いかかってくるのです

成立を急ぐばっかりに中身はスカスカ

 入管法の改正案は「特定技能1号」という資格を取れば、5年間の在留期間を認められるというものです。 「特定技能1号」は日常生活に支障がない程度の日本語能力試験と、各業種を所管する省庁の技能試験などを経て取得することができ、家族と一緒に過ごすことはできません。家族と一緒に過ごせないというハードルを設けることで帰国を促す意味があるのだと思いますが、日本の労働力不足というピンチを助けてもらう存在なのに、その人たちが5年間も家族と過ごせないというのは、その人の人生をどう思っているのでしょうか。  そして、「特定技能2号」という資格を取れば、在留期間の更新ができ、家族と一緒に過ごすことができるというものになるそうですが、そのハードルはめちゃくちゃ高くすると宣言しています。  安倍政権は、この「特定技能2号」を取得できる人は少なくするので、ほとんどが5年以内に母国に帰ることになるのだから、これは「移民ではない」という主張をしています。しかし、1号と2号にどれくらい難易度の違いがあるのか、2号の水準に達していると判断する測定方法は何なのかなど、細かい部分が何も決まっていないのに、とりあえずその外側だけを決めて通過させているので、完全なるザル法案です。  また、外国人労働者を奴隷のように使っている悪質ブローカー的な企業が野放しになっているため、こうしたブローカーたちが法の抜け穴を利用しないとも限らないのに、ろくすっぽ話し合わないため、問題点の指摘が終わらないまま、このザルみたいな法案が通過してしまったのです。  本当は「保守」とか「愛国」とか言っている人たちこそ真剣に考えなければならない問題にもかかわらず、ネトウヨの皆さんは無言です。なぜなら、この問題を騒ぐネトウヨのリーダーがいないため、ネットで何を騒いだらいいのか分からないので、特に意見を持ち合わせていないからです。そして、こうした問題がザルになると、将来的に社会不安が増大するかもしれないのに、問題が起こったらその時はその時ということで対処しようとしているのです。
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日本人労働者にものしかかってくる問題
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