やはりどう考えても改正入管法が「現代の奴隷制」だとしか思えない件

東京入国管理局の人権に対する意識の無さ

 これだけ人権が無視されているにもかかわらず、11月20日に東京入国管理局はTwitterで「落書きはやめましょう」というツイートをアップし、東京入国管理局から徒歩5分ほどの場所にある港南大橋の歩道橋に書かれた抗議のメッセージである「FREE REFEGEES(難民に自由を)」を紹介し、「表現の自由は重要ですが、公共物です。少しひどくはないですか」としたのです。  人権が無視された末に絶たれた命があるというのに、東京入国管理局はこれを「固定されたツイート」にして12月11日現在もアカウントのトップに表示し続けています。加害者である東京入国管理局がまるで被害者のような立ち回りを見せているというわけです。  このツイートには「これが落書きにしか見えないオマエたちは心底腐っている」と抗議する人たちがいる一方で、肯定的に受け止めるネトウヨがいるということも知っておかなければなりません。  不法滞在という罪を犯している人間なのだから捕まるのは当然だろうというのです。しかし、どうして彼らが不法滞在を犯すことになってしまったのか。その原因は日本の企業や政治が作り出しており、奴隷のように働く外国人労働者に対し、「酷いことをしている」という意識が欠如していることにあります。日本が美しい国だと言っているのは一部のネトウヨだけで、政府も民間も一緒になって外国人労働者が奴隷のように働かされる環境を整え、そういった人たちを捕まえては収容所に閉じ込め、そして、耐えられない人や病気の人は殺しているのです。  僕たちには職業選択の自由があり、それは憲法で保障されています。  会社に勤めてみたものの、その仕事が続けられないと思ったら辞めればいいし、別の仕事をしても良いのです。ところが、日本にやってくる技能実習生には職業選択の自由が与えられていません。パスポートを取り上げられ、逃げられない環境を作られた上で低賃金のブラック労働を強いられるのです。その時給は最賃以下。酷い場合は180円とか300円とかいうケースもあるほどです。いずれにしても拷問のような低賃金で働かされる日々が繰り返されています。  1日16時間とか17時間とか働かされ、病気になったら自己責任だと言われる。仕事で指を切断する事故に巻き込まれた男性が、医療費を自己負担させられたあげく解雇され、とっとと国に帰れと使い捨てにされた例も報告されています。  こうした事例が相次ぎ、働いてもお金を稼げない環境の中で「帰国するなら自己負担」と言われた人たちが、そこから逃れる手段は「会社から逃げる」しかありません。どこかの知り合いを頼りにひっそりと暮らし、時に不法滞在と言われるようになってしまうのです。日本人はこれを重罪を犯した犯罪者のように扱い、牛久にある東日本入国管理センターの施設に収容された末、病気を訴えても病院に連れて行ってもらえず、腐った食事を食べさせられて腹を壊すようなことがあっても「自己責任」という言葉を突きつけています。今に外国人たちにやっていることが自分たちに向けられるかもしれないのに、何が起こっているのかをよく見ることなく、ただ「不法入国は犯罪である」という部分的な正義を手にフルスイングでぶん殴る。これが今の日本の姿です。そういう人たちが語る「愛国」って何なのでしょうか。
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国会も民意も無視。財界要請のみ重視の安倍政権
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