やはりどう考えても改正入管法が「現代の奴隷制」だとしか思えない件

入管前抗議

入管の酷い扱いに声を上げる人々

 ついに「現代の奴隷制度を認める」法案が強行採決を経て成立してしまいました。そう、改正出入国管理・難民認定法(以下、入管法)です。  これで自分たちのことを「先進国」だと思っているのですから、ずいぶん恥ずかしいことになっています。どれだけメチャクチャなことをしていても、国民はほとんど政治に関心がないので、昨今の「何でも批判するのは良くない」という風潮から、いつまでも安倍政権の支持率は高い状態にあり、みんなが気づかないうちに、世界ではどんどん恥ずべきポジションに成り下がっています。  いよいよ日本は「奴隷を作ることに何のためらいもない」という人権の存在しない国になってしまったのです。もともと日本の国会議員の意識が「下々の国民に人権など必要ない」というものになっているため、いつしかこんな日が来るんじゃないかと心配されていましたが、本当にそういう時代が来てしまったので笑えません。  本来は人の命にも関わる問題なので、しっかり話し合い、とことん議論を煮詰めなければならないのですが、安倍晋三総理がアルゼンチンに外遊に行くスケジュールになっているためなのか、財界からの強い要請があったせいなのか、こんな法案はとっとと通してしまった方がいいということで、データが捏造されていようが、野党がどれだけ反対していようが、国民の過半数が納得していなかろうが、とにかく通すといったら通すということで、今となってはほとんど形式だけになってしまった野党のフィリバスターも虚しく、あっさりと衆議院を可決し、参議院も数の論理であっさり通過してしまいました。 「こんなに話し合わないなら国会なんて必要ない」と言えるところまで来ています。あまりにも酷いことになっていて、新聞の社説などでは厳しく批判されているのですが、最近は新聞を読む人が減り、多くの人が見るであろうテレビのワイドショーは貴乃花の離婚や宮崎県の一家心中に夢中です。国家的な危機をほとんど報じてくれないのです。

外国人労働者の環境は「奴隷」と呼ぶにふさわしいもの

 ブローカーのような人たちに日本に連れてこられた技能実習生たちは、パスポートを取り上げられ、過酷な労働環境の中で仕事をさせられ、転職の自由を認められていないため、逃げ出す人たちが後を絶ちません。  逃げ出した人たちは「不法滞在」という罪を着せられ、逮捕されれば人権のない牛久などの「入国管理センター」の収容所で過ごすことになり、自殺する人まで出ているのです。(参照:相次ぐ外国人収容者の死。牛久の東日本入国管理センターで何が起きているか)  日本で技術を習得し、母国で活躍しようと夢見た人たちが、想像以上のディストピアに遭遇し、絶望に暮れて命を絶つのです。日本がこんな国に成り下がっていることを日本人は知らないし、人権が無視されていることを無視している状態なので、世界中から少しずつ非難されるようになってきています。  日本はたびたびドヤ顔で「先進国」を自称しますが、世界の人たちは誰も日本のことを「先進国」だなんて思っちゃいません。先進国と呼ぶには200年遅れと言えるほど人権が酷く無視されていて、時給換算で300円になるとか、残業代が一切支払われないとか、狭い部屋に大量の労働者が押し込められているとか、そういうことについての対策を一切話し合うことなく、安倍政権は強行採決してしまったのです。
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東京入管の呆れた人権意識も炎上
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