国会軽視が続いた今国会、初っ端に話題になった「質問通告」について改めて考えてみた

kokkai

gandhi / PIXTA(ピクスタ)

 水道法に入管法、漁業法など、日本の庶民の暮らしにも大きく影響しそうな法案が続々と強行採決されてしまった今国会。  国会軽視もここに極まれりと言った感じの臨時国会であったが、中でも初っ端に話題になったのは、桜田義孝五輪担当大臣の「質問通告がなかった」発言だっただろう。いや、あまりに酷い発言、国会軽視の言動が多すぎて忘れた人もいるかもしれないが……。  ここでは敢えて、大臣の不誠実答弁の新たな決まり文句になってきた「質問通告がなかった」発言、すなわち質問通告のあり方について考えてみたい。(参照:【独自】桜田五輪相がきょう謝罪へ 「質問通告なかった」発言 – FNN.jpプライムオンライン

「質問通告」とはなにか?

 そもそも、質問通告は国会法に決められたルールではなく、あくまで与野党間の慣習に過ぎない。いわゆる「2日前ルール」に関しても、単なる与野党間の取り決めである。  しかしながら、質問通告の遅れが省庁にいる官僚の労働環境を悪化させているという批判は、近年とみに野党批判として取り上げられるようになった。  10月6日付の「BuzzFeed News」の記事によれば、 “すべての議員から質問通告が出揃うのは、平均で午後8時41分。もっとも早く出揃った日は午後5時50分だった一方で、もっとも遅かった日は日付が変わった午前0時半だった。  資料作成をする担当が決まったのは、平均で午後10時40分。もっとも早かった日は午後6時50分で、もっとも遅かったのが翌日午前3時だった。  それから資料の作成に取り掛かるというのだから大変だ。” (参照:「国会議員が官僚に強いる「ブラック残業」 午前3時から答弁をつくることも」)  とある。  このような現状を踏まえて、若手官僚からは以下のような提言がなされている。 「霞が関の働き方改革を加速するための懇談会」  今回は、そもそも質問通告とは何か、それはどうあるべきなのかについてまとめたい。
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質問通告が遅れる要因
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