国会軽視が続いた今国会、初っ端に話題になった「質問通告」について改めて考えてみた

「質問通告」を巡る問題点

 こうしてまとめてみると、大きく3つの問題があった。 前日に委員会開催が決まる、国会の日程制度 官僚に依存せざるを得ない閣僚の資質 ギリギリまで通告をしない野党  一般的には、3番が最大の要因と考えられているかもしれないが、本稿で問題にするのは主に1と2になる。

質問通告は必要か?

 そもそも、質問通告はこれほど大量に必要なのだろうか? “イギリスでも質問通告制度があるが、通告は3営業日前までになされるため、通常の勤務時間内に十分対応することができる。  フランスでは、システマティックな質問通告制度がないため、逆に、閣僚は一般的な準備を行った上で、その範囲内で答えるしかない。そのため、時には不正確な答弁を行ってしまうこともやむをえないものと、受け止められているようだ。” (参照:ヨーロッパで活躍する財務官僚が寄稿──官の「人材と働き方の多様性」が国を強くする | クーリエ・ジャポン)  海外ではこれほど官僚が手取り足取り、場合によっては質問に対する返答だけではなう、質問そのものを作ってしまう状況というのは考えづらい。  野党の質問通告ばかりに文句がつくようだが、小泉進次郎議員を始めとした議会制度の改革論者は「我々は官僚の働き方改革をするために、国会答弁書については縮小する。具体的な数値に関しては通告いただきたいが、それ以外は閣僚の言葉で答弁をする」と答えればいいのではないだろうか?  自民党の小林史明前総務政務官は、このように述べている。 “イギリスの下院では、“閣僚級”同士のクエスチョンタイムは月曜から木曜まで1時間実施されます(参照:国立国会図書館『英国における政権交代』)。  同じようなシステムをもし日本に導入したら、野党側はいまよりも専門的で、かつ実のある政策論で追及し、法案の修正や廃案を迫るようになります。当然のことながら、野党としては政権担当能力を示す方向にインセンティブが働くようになるでしょう。  これは政権側にとっても厳しいながらメリットがあります。本質論で攻められるとなれば、矢面に立つ閣僚は、付け焼刃の勉強では対応できなくなります。そこで、諸外国に比べ大臣の国会審議への拘束がきつすぎる現状を変える。政策の勉強や現場視察、あるいは外遊などに時間をあてて政権側も研鑽を積むようにすることで今よりも生産的な時間の使い方になります。” (参照:日程闘争からの解放:与野党が真に政策を競うための国会改革へ – 自由民主党・衆議院議員 小林史明 公式サイト)  小林議員が書いている通り、与野党の健全な議論のためにも、また本質的には最も官僚の負担を減らすためにも、閣僚がその言葉で語ることはとても重要ではないか。(もっとも、そこで問題発言をすればその尻拭いをするのは官僚である、という堂々巡りの問題もあるのだが)
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立法府の中立性を侵しても法案成立を目論む与党こそ再考せよ
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