大阪万博決定で進む「鉄道整備」。「夢洲の足」は誰の手に?

都市商業研究所

果たして「水上からのアクセス」は……?

 さて、万博会場の夢洲は埋め立て地であり、海に面している。そのため、鉄道のみならず「海上アクセス」も重要な輸送路の1つとなろう。例えば関西国際空港、神戸空港などから「船で直結」ということも想定される。

 万博の基本計画では、関空や神戸、四国などからの海上輸送については「検討を進める」とされており、開催決定後には大阪市の吉村市長も前向きな姿勢を見せたが、現時点では具体的な計画は出ていない。

 ここからは筆者の意見であるが、大阪市中心部にある京阪中之島線の各駅や、京阪本線の淀屋橋駅、天満橋駅は川に面しているため、もし同線の夢洲までの延伸が叶わなかった場合には「船による輸送」も検討してみてはどうであろうか。なにしろ、いま大阪で水上バス(現在は遊覧運行のみ)を運行しているのは京阪グループだ。もちろんそのためには「船着き場の整備」「海上まで運行できる旅客船の導入」なども必要となってくるが、「水都」を標榜して内外に絶賛アピール中の大阪市だけに協力的な姿勢を示してくれるのではないだろうか。なお、すでに淀屋橋駅、天満橋駅の近くには水上バスの船着き場が設置されている。

中之島

淀屋橋から見た中之島の風景。左が中之島、手前の大きな建物は大阪市役所。右には船着き場、奥に水上バスも見える

 さらに、夢洲の港に税関などを整備して「豪華客船で世界一周の途中に万博に直接寄港」ができれば「唯一無二」の体験になるとして大きな人気を集めるであろう。仮に大型クルーズ船が寄港すれば一度に1000人以上の来場者を見込めるうえ、多くの客は船に宿泊すると考えられるため、開催期間中の宿泊地不足対策にも寄与することになる。
 ぜひ「人工島ならでは」の魅力として検討して欲しい。

万博会場完成予想図

万博会場の完成予想図(「OSAKA,KANSAI EXPO 2025」公式サイトより)。大型客船の姿も見えるが、果たして……

 東京オリンピックの決定直後、延伸計画がある有楽町線、蒲蒲線(仮称)、ゆりかもめ、埼玉高速鉄道などといった数多くの公共交通機関の沿線で「延伸の実現」に対する期待の声が多く上がっていた。
 しかし、実際に整備がおこなわれたのは虎ノ門新駅、各駅のバリアフリー化などごく一部のみに留まり、五輪輸送のみならずタワーマンションが増え続ける晴海・月島地区にとっての重要な足になる臨海部のBRT整備でさえも暫定的なものとなってしまった。

 今回こそは、本当に必要な交通網が適切に整備され、そしてそれが将来に亘って大阪の発展に寄与するものになることを願ってやまない。

通天閣

万博開催の決定により特別カラーでライトアップされた通天閣。2025年以降も輝きを見せてくれるか?

<取材・文/若杉優貴 撮影・図/淡川雄太 ウラカシ(都市商業研究所)>
都市商業研究所
若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken

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