各所に「万博誘致」の旗が掲げられる大阪市中央区道頓堀。街頭ビジョンではNMB48が万博誘致を呼びかけていた
2025年に万国博覧会が開催されることが決定した大阪市此花区の沖合にある人工島「夢洲」(ゆめしま)。
大阪万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、2025年5月3日から185日間に亘って開催される。想定入場者は約2800万人と、2020年に開催される東京オリンピック以上のビッグイベントとなる計画。万博の開催については賛否両論あるが、少なくとも大阪の街では歓迎ムード一色だ。
東京五輪・大阪万博の開催計画
さらに、万博会場の隣接地には統合型リゾート施設(IR)の誘致活動も行われている。こちらは正式に決定すれば2024年に第一期開業する予定。万博の開催決定は統合型リゾートの誘致決定にも寄与することになろう。
2025年に万博が開催される予定の人口島・夢洲(左下)。中央の人口島は舞洲。東(右)にはUSJ、北(上)には阪神甲子園球場も見える
さて、この10月には関西国際空港の利用客数が「過去最大」を記録するほど海外、特にアジア各国の人々にとっての人気観光地となっている大阪だが、その「交通の便の良さ」も魅力の1つだ。大阪市内には地下鉄がおおよそ格子状に走っており、海外から来た観光客からは「東京より分かりやすい」という声もある。
現時点では万博会場となる夢洲には鉄道路線が乗り入れてはいないが、地下鉄の延伸をはじめとして、万博に向けた複数の「鉄道延伸計画」が持ち上がっている。
一体どういった路線の整備が予定されているのだろうか。
まず、整備が確実視されているのが、大阪メトロ(旧・市営地下鉄)中央線を延伸する「北港テクノポート線」計画だ。
この計画は、緑のラインカラーで親しまれる大阪メトロ中央線を現在の終点であるコスモスクエア駅から夢洲駅(仮称)まで延伸するもの。
大阪メトロ中央線の終点・コスモスクエア駅
コスモスクエア駅は大阪湾に浮かぶ人工島「咲洲」に立地する。咲洲はかつて「バブルの象徴」と言われ、いわゆるハコモノ施設が立ち並ぶ閑散とした島であったが、近年は企業立地や大学進出、マンション建設なども進み、駅もラッシュ時には賑わいを見せる。
ここから夢洲までの新線整備距離は約3kmと短く、途中駅は設置されない。開通後は現在の大阪メトロ中央線と同様にJR大阪環状線との乗り換え駅である弁天町駅、阪神なにわ線との乗り換え駅である九条駅、大阪市中心部にあり地下鉄2路線との乗り換え駅である本町駅などを経て近鉄に乗り入れ、奈良県生駒方面への直通運転が予想される。
この区間には海底トンネルが必要となるが、実はすでにトンネルの大部分は完成済み。もちろん、万博と統合型リゾートの誘致に積極的であった大阪市がこの路線を建設しないはずはなく(なお大阪メトロは今年から民営化されたが、現在は大阪市が株式の100パーセントを保有する)、万博開催までの開通は「確定的」だ。
コスモスクエアから夢洲方面を望む。現在の夢洲にはコンテナターミナルが進出しているため、赤と白に塗られたガントリークレーンが目立つ。後ろに見えるのは神戸の六甲山
大阪市は統合型リゾート施設の開設が決まった場合、出店事業者にも工事費の一部を負担して貰うことで建設費のさらなる圧縮を図るとしている。