伊方3号炉再稼働から2週間。原発のある町の「日常としての抗議活動」

 核拡散防止と並んで核物質防護(核防)上、原子力・核施設の警備が年々厳重化せねばならないのは世界共通で、バックエンド・デコミッションを含めた原子力発電のコスト急上昇の一因となっています。合衆国の場合は、事業者が警察などによる武装警備費用も直接支払い、日本の場合は国や自治体の支払いとなる傾向が強いです。  さて、抗議集会では参加者の発言が続きますが、伊方発電所正門前抗議集会では、四国電力社長への要請書(※2018伊方集会抗議文)の手交がありました。実際に四国電力社長の代理として伊方発電所の管理職が集会まで出向き、文面の受け渡しを行うもので、これは伊方に特徴的なことではないでしょうか。私が伊方集会の取材を始めたのは2015年の夏ですが、当時は毎月行われており、とても驚いた記憶があります。  そうこうしているうちに、時間は正午近くなり、午前の部を終えないとアルソックの人が戻れません、いや、午後の報告会に移れません。  時間がないので、牧田さんにマイクは回しませんよとのことでしたが、私はNikon 2号のバッテリがGPSの設定ミスで干上がってしまい、超広角レンズをつけたNikon1号だけで撮影するのに四苦八苦しており、それどころではありませんでした。  伊方正門前集会は、党派性が極めて希薄で、様々な市民が手作りで集っているという特徴があり、1980年代90年代に電力、国のPA担当者が非常に対応に苦しみ、その実態は80年代から00年代にかけての原子力PA文献に残っていますが、これは実際にその場を目にしないとなかなかわからないと思います。私も原子力PAの文献を読めば読むほどに混乱しましたが、実際に現場に足を運び、当事者に話を聞くことによって、なぜ、原子力PA担当者が80年代90年代当時、伊方反対運動を前に大いに狼狽えたのかやっとわかってきました。  それにしても、あの日、あのとき、私が博士号を取得する直前、もんじゅが燃えて、動燃事業団(PNC)が自爆していなければ、私は正反対の側からの風景を見ていた筈で、毎回伊方では感慨深いものがあります。
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根強く残る地元住民による四電への不信感
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