ナポレオンの末裔と日本の要人が語る、第一次世界大戦終結100周年の“意味”

及川健二

パリで第一次世界大戦終結100周年を記念して式典開催

BRITAIN-FRANCE-DIPLOMACY-MIGRATION-DEFENCE

エマニュエル=マクロン大統領(写真/フランス大統領府)

 11月11日で第一次世界大戦終結から100周年を迎え、フランスのパリ市にて式典が行われる。トランプ大統領やプーチン大統領をはじめ60か国以上の海外首脳、120人を超える外国要人がパリに集まる。
 戦没者を追悼するとともに、1918年の教訓を物差しとして今日の世界を考え、過去100年を振り返る。フランス政府は、第1回パリ平和フォーラムを開催し、市民社会の代表者とともに多国間主義の再構築に向けた革新的解決策を模索し、作り上げようと試みる。

 第一次世界大戦中、世界中からやって来た人々がフランス北東部で戦死した。フランスのエマニュエル=マクロン大統領は、11月4日から9日まで5日余りをかけて、グラン=テスト、オー=ド=フランス両地域圏の中でも特に多くの戦争犠牲者を出した11県(バ=ラン県、モーゼル県、ムルト=エ=モーゼル県、ムーズ県、アルデンヌ県、マルヌ県、エーヌ県、ノール県、パ=ド=カレ県、ソンム県、オワーズ県)を訪れた。

 マクロン大統領とドイツのアンゲラ=メルケル首相は11月10日、休戦協定が署名されたコンピエーニュの森で仏独記念式典に出席する。

 続いてラ・ヴィレット公園内のグランド・アルに移動し、第1回パリ平和フォーラムの開会式に出席する。本フォーラムは、現代世界の緊張の高まりに対応するため、①グローバルな主要課題をめぐる、よりよい国際協力②より公正でより公平なグローバル化③より効果的な多国間システム④強化された正当性などに貢献するプロジェクト、アイデア、イニシアティブを発表、議論する年次会合となることを目指すという。

ナポレオン一世の末裔が語る、戦争なき欧州

シャルル=ナポレオン伯爵

シャルル=ナポレオン伯爵

 筆者は第一次世界大戦終結100周年にあたって、ナポレオン=ボナパルト(ナポレオン一世)の末裔でナポレオン家の前当主・シャルル=ナポレオン伯爵にインタビューした。
「欧州連合の統合は、第一次世界大戦、第二次世界大戦が起きたことからでしか理解できません。この二つの戦争は世界で約6000万人もの死者を出し、日本を含む地球全体で人類に最も知られている最も忌まわしい戦争だと考えられています。

 この戦争の中心地は当時のヨーロッパにありました。第二次世界大戦の場合、この紛争のもととなったのは、ポーランドを占領して領土を拡大するヒトラーの野望にあり、この行為が次第にすこしずつ進展していき、一つの大きな戦争となりました。

 ヨーロッパというのは、14世紀から18世紀にかけて同じような全欧規模の戦争で1000万人の死者を出しているのです。したがって第二次世界大戦後、例えば『欧州統合の父』と呼ばれるロベール=シューマン仏外務相のような偉大な指導者たちは、ヨーロッパにおける戦争の再発を防ぐためには、新しい単一の政治的立場が構築されなければならいと考えました。これが現代ヨーロッパ、つまり欧州連合の起源となっています。

 つまり、欧州統合には二つの側面があるのです。過去何世紀にもわたり戦争を繰り返してきたこの地に『相互依存』と『利害の共有』というシステムを導入することで、二度と争いを起こさない仕組みを作り上げること。さらに、各国の協力強化で欧州を国際政治、国際経済、ひいては世界史の主役として復活させることなのです。

 幸いなことにこの70年間、大きな戦争は終わりを告げました。ユーゴスラビアが崩壊したときにその領土の南側に小さな紛争があったことを除けば、ヨーロッパにはこれ以上の戦争はありませんでした。世界には地域紛争というものが実際にありますが、それは過去にヨーロッパが経験した紛争と比較すればほんの僅かなものであるといえます。

 いま、欧州懐疑派が勃興している中、第一次世界大戦終結100年を契機に、『戦争なき欧州』『平和に基づく欧州』という理念に立ち戻るべきでしょう」

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日本の政治家も語る「第1次世界大戦終結以降」
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