「タイはいま麻薬天国」とタイ人の元女囚は言った

高田胤臣

夜の繁華街

夜の繁華街は麻薬売買の温床にもなっている(写真はイメージです)

「タイは今がこの十数年で最も麻薬天国ね」
 そう言ったのはバンコク都内にあるバーに勤めるタイ人女性S(45歳)だった。

 彼女は2014年の中頃にタイ警察による麻薬の囮捜査で逮捕された。約2年半ほど服役し、2017年6月ごろに仮釈放という形で外に出てくることができた。そこから約1年間は仮出所の書類と共に毎月最寄りの警察署に保護観察として出頭し、丸1日社会奉仕活動をする日々が続いた。社会奉仕は市中の清掃など多岐に渡るがその都度内容が違う。

 そんな彼女に出所直後に再会し、どんな生活をしていたか訊いた。女子刑務所の様子に興味があったからだ。

タイの「女囚」の生活とは?

「刑務官は女性だけど、厳しかった。わからないことがあっても質問はできず、正解を自分で見つけるまで鉄拳制裁の日々ね。それでも模範囚になれば、刑務所外で働くことができるの。それはよかったわ」

 男性受刑者は刑務所外でなんらかしらの労役に就くことはほとんどない。しかし、女性の場合は信用度の高い模範囚になれば、飲食店などで短時間だが働かせてもらえるのだという。もちろん客と私的なコンタクト持つことは禁止だし、チップも受け取ってはならない。客にも受刑者であることは伏せられている。

 刑務所内の様子はどうだったか。「女囚」というといろいろな妄想が男性にはあるが……。

「ちょっとしたけんかなどはあるけれども、いじめなどはない。トム(※筆者注:性同一性障害の女性で、特に髪形や格好、振る舞いが男性っぽい人。英語のトムボーイが語源と見られる)がいるので、中には恋愛関係になって盛り上がっている人もいる。娯楽はテレビも比較的自由に見られるので、退屈はしないかな」

 筆者はかつて日本人男性受刑者に年に数回ほど面会に出向いたことがあるが、その人が言っていた刑務所の様子とはかなり違う印象だった。女性の場合、腕力の差や暴動のリスクなどが大きく違うので、待遇が違うのかもしれない。

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もう麻薬はこりごりだ
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