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肱川大水害の災害現場。死者も出た地域の傷痕は今もなお深い
肱川大水害の災害現場。死者も出た地域の傷痕は今もなお深い
牧田寛
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2018.11.10
建屋が一棟流失した肱川中学校
河辺川左岸、肱川右岸に挟まれた鹿野川大橋の対岸に肱川中学校があります。肱川中学校はグラウンドの川岸で標高50mとなっており、本校舎が標高60mにあります。グラウンド面に立地している東校舎と体育館は一階が水没、本校舎は無事だったようですが、スクールバスが4台すべて水没し、8月2日まで全校出校ができなかったとのことです。また、建屋が一棟流失しています。 とても魅力のある校舎ですが、老朽化と耐震性不足から今年度いっぱいで取り壊し、建て替えとのことです。生徒数もかつての600人超えから現在は、全生徒40人に減少しており、校舎の規模が明らかに過大です。
肱川中学校全景 河辺川右岸より望む 手前が河辺川、中央が肱川中学校、左が肱川、中央奥が下石丸地区(国道下)と上石丸地区(国道上)。2018/10/27撮影
肱川中学校東校舎 手前が河辺川、左奥が本校舎。東校舎は一階が水没し、音楽教室などの機材が被災した。2018/10/27撮影
肱川中学校 グラウンドと体育館 グラウンドと体育館一階(倉庫など)は水没している。写真右中央、階段の手前に流失した建屋の基礎が見える。河辺川と肱川の合流点に面したフェンスは破損が著しく撤去の上で新製工事中。2018/10/27撮影
肱川町鹿野川地区
河辺川左岸を更に進むと、肱川町鹿野川地区にでます。かつて、大洲藩、宇和島藩、新谷藩の支配域が重なり、土佐藩との交通の要衝でもあったことから、交易、物流、軍事拠点として栄えた町です。現在も依然として付近一帯の行政、商業機能が集中している集落です。
[西日本豪雨]「大洲・肱川 一歩ずつ前へ・・・存亡の危機に立つ集落」南海放送の夕方ニュース『News Ch.4』7/27放送
この地区は標高50~60mにありますが、地区全体が二階まで水没しており、水は標高55m以上まで来ていたことがわかります。そのため、大洲市肱川町の支所、公民館、図書館、保健センターが一度に機能を失い、被災直後には災害復旧の拠点を失っていました。 子どもたちは、肱川公民館を遊び場にし、元気に飛び跳ねていますが、商業街区の復旧はたいへん遅れており、日が暮れると一部の家屋を除き灯火が見当たりません。 現在、標高200mの山上、肱川風の博物館などに隣接した大駄馬地区に仮設住宅3棟15戸が提供されていますが、自家用車がなければ生活が成り立ちません。(参照:
愛媛豪雨災害 大洲市、応急仮設住宅26日に抽選へ 2018年8月21日愛媛新聞
) 肱川町鹿野川地区の洪水被害は、前回ご紹介した下石丸地区(肱川大和団地)や道の駅清流の里ひじかわと比較すると目立って大きく、小規模ながら官公庁、商業中心街区に該当するため、町そのものの機能が長期間失われていることとなり集落全体の存続にもかかわる深刻な状況です。 地形図を読む限り、前回ご紹介した下石丸地区や道の駅清流の里ひじかわ、肱川中学校と肱川鹿野川地区の標高はほぼ同一です。一方で、洪水被害には差が出ています。
肱川町下石丸地区 床下~床上浸水浸水 標高55m
肱川大和団地(下石丸) 被害なし? 標高58m
肱川中学校 床上浸水(2~3m程度) 標高50~60m
道の駅清流の里ひじかわ 床上浸水(2m) 標高50m
肱川町鹿野川地区 二階浸水(4~5m) 標高50~60m
鹿野川地区は、目立って標高が低いわけではありませんが、河辺川沿いの集落の浸水が激しく、バックウォーター(背水)によって被害が拡大していた可能性があります。 現在建設中の山鳥坂ダムは、河辺川のバックウォーターを抑止する働きが期待されますが、今回の規模の洪水では全く効果がありません。むしろ、洪水の長時間化によって鹿野川大橋が崩壊する可能性もあり、今回の水害規模を想定した場合、根本的に治水対策と町、河川の設計を考え直す必要があります。
肱川町鹿野川地区 肱川町の中心街で甚大な被害を受けている。中央の修正テープで鹿野川大橋が隠れている。2018/10/27撮影
鹿野地区避難場所案内図の「現在地」のやや左の橋の上から右岸を撮影。家屋の一階は全没している(実際は二階半ばまで浸水)。左は河辺川。2018/10/27撮影
鹿野地区避難場所案内図の「現在地」のやや左の橋の上から河辺川上流を望む。 奥から肱川支所、肱川公民館、肱川保健センター。この付近一帯は、二階床上浸水。被災後、公民館は子供の遊び場になっており、3階に灯りがみえる。2018/10/27撮影
肱川保健センター・図書館 避難所になっているが、一階全没、二階も浸水したとのこと。蔵書も水没している。2018/10/27撮影
二階半ばまで水没した痕が残る民家 2018/10/27撮影
肱川支所右上の橋から河辺川上流を望む。両岸ともに一階全没、二階まで浸水。2018/10/27撮影
浸水跡をよく残している集落内の建物。二階の軒先近くまで水没していることがわかる。2018/10/27撮影
肱川町鹿野川地区中心街 街灯は点いているが建物の灯りは殆ど見られない。2018/11/2/19:18撮影
肱川町鹿野川地区の近く、大駄場地区に完成している仮設住宅。3棟15戸。2018/11/2撮影
災害ゴミ仮置場に放置されていたところを住民に保護された老犬。子どもたちが「元気」と名付け、住民が世話をしている。人にとてもよくなれているが、災害復旧ままならない中、保護先が見つかっていない模様。2018/11/2撮影
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産業遺産としても注目されるJR四国多度津工場。公開イベントに行ってきた
2018.11.03
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