「計画運休は前日発表」のお粗末さ。問われる鉄道の情報提供のあり方

 9月末、台風24号の影響で鉄道各社が行った計画運休。それから一か月以上経った11月6日、JR東日本によって今後の計画運休についての発表が行われた。降雪による遅延の増加が予想される季節に向け、気になるその中身を探った。

計画運休の発表は西日本が一歩リード

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 数日前、筆者がファン歴40年というベテラン鉄道ファンと酒を飲んでいたときのこと。このファンの男性がこうつぶやいた。 「鉄道が好きだから基本的にJRの味方をしたいんです。でもね、さすがに無理ですよ。JR東日本にはもう呆れています」  その理由は、11月6日にJR東日本が「計画運休の公表は前日に」と発表したこと。「計画運休であれこれ揉めたのは9月末のことでしょう? それから一か月以上も経って言い出したのが『前日に発表』って……。利用者をバカにしているにもほどがありますよ」と憤慨していたのだ。  たしかにこの鉄道ファンの憤りには理解できる面もある。9月30日に台風24号の接近に伴う計画運休を行ったことによる大混乱。直後にはこの決定を賞賛する声も多く聞こえた。それから同社では“情報提供のタイミングや方法を検討してきた”というが、その結果が「公表は前日」、さらには「報道機関へのプレスリリースやホームページだけでなく、SNSを活用した情報提供も」とくれば、否定的な意見が出るのも無理はない。鉄道ライターのM氏は次のように語る。 「そもそもJR東日本が発表した新たな方針は、はっきり言って何ひとつ真新しさがないうえ、はるか以前からJR西日本をはじめとする他社が当たり前のようにやっていることです。9月30日の計画運休にしても、同社は計画運休を当日の昼頃に発表した。さらにこの時点では『翌日始発からは平常運転』としておきながら、翌日の未明になってから『運転本数を減らす』と発表するなど、ちぐはぐな対応が目立った。はじめての計画運休なので反省点が多くなるのは仕方ないですが、それを受けた対応がいくらなんでも遅すぎますよ」  鉄道ライターのM氏が指摘するのは、計画運休そのものの是非ではない。むしろ計画運休そのものは京阪神ですっかり定着しているように、輸送の安全を維持して混乱を抑えるためには必要であることは間違いないだろう。ただ、問題なのは情報提供のあり方。10月10日に国交省がJR旅客6社と大手私鉄16社を集めて行った検討会議では、「計画運休は必要」という認識で一致しながらも、情報提供に課題があったことも指摘されている。 「いままでJR西日本が行っていた計画運休では混乱はほとんどなかった。それは、台風接近などの可能性が生じた早い段階で計画運休があり得ることを公表するなど、積極的な情報提供に務めてきたからです。少なくとも前日に計画運休の可能性がわかれば、利用者も対策を講じやすい。ただ、JR東日本はこうした入念な情報提供をすっ飛ばして、“運休だけ”を行ったに等しい。当日発表では仕事などで運休に関する情報を得られない人もいるでしょうし、いまさら対策できない人もいるわけですから、混乱を招くのも当然です。それでも同社は当初『情報はしっかり提供した』というスタンスを貫いていましたから……」(鉄道ライターのM氏)  この計画運休に限らず、情報提供のありかたは通常の人身事故などによるダイヤが乱れるときもたびたび注目されるテーマ。突然電車が運転見合わせとなり、「人身事故で再開の見込みがたっていない」とアナウンスされた経験がある人は多いだろう。問題なのは、そのあとの情報提供の質と量。ある大手私鉄の車掌経験者は、絶対匿名を条件に次のように明かす。 「トラブルが起きたときには、できるだけこまめに情報を提供することが絶対的に欠かせません。現実には、現場の車掌や駅員には情報があまり下りてこずに、伝えられることが限られることも多い。でも、『情報がないから提供はできないからほっておこう』では、鉄道マン失格です。ベテラン車掌や駅員ならば、限られた情報をこまめに、うまく伝えることで乗客のイライラを少しでも鎮めることができる。ただ、新人社員はなかなかそれができずに、かえって乗客を怒らせることもあります。『再開はいつ頃?』という問い合わせに、『わかりません』だけで終わらせてしまっては、はっきり言って客を怒らせるだけで何の意味もありません。個人的な意見ですが、その点極めて情報提供力がない鉄道会社もあると思います」
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駅利用者への情報提供策に不備あり
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