高プロの「自由」の正体。それは、経営者が深夜でも気兼ねなく働かせることができる「自由」だ

上西充子
過労

aijiro / PIXTA(ピクスタ

 2回にわたり、厚生労働省のリーフレット「働き方改革~ 一億総活躍社会の実現に向けて ~」(参照:厚労省)における高度プロフェッショナル制度の紹介内容を、批判的に検討してきた(参照:「厚労省の高プロ制紹介に見る欺瞞。政府は、野党の次は国民を騙しにきた」、「悪徳商法のような高プロ制紹介。厚労省が駆使した『ご飯論法』の悪質さ」)。

 今回は、このリーフレットにある「自由な働き方の選択肢」というときの「自由」とは何を指すのかを考えていきたい。

リーフレットには「自由」の中身なし

 まずリーフレットの文面を検討しよう。

 冒頭に制度の目的として、

自律的で創造的な働き方を希望する方々が、高い収入を確保しながら、メリハリのある働き方をできるよう、本人の希望に応じた自由な働き方の選択肢を用意します。」

 とある。なかなか魅力的な制度のように見える。

 しかしそのあとの解説を読んでも、どこにも「自律的で創造的な働き方」「メリハリのある働き方」「本人の希望に応じた自由な働き方」とはどういう働き方なのかを説明した文章がない。

 これらの魅力的な言葉から想像されるのは、「働きたい時に働き、休みたい時には休む」という働き方だろう。だが、高プロでそのような働き方が可能になるという説明はどこにもないのだ。

 あるのは「長時間労働を強いられないよう、以下のような手厚い仕組みを徹底します」「健康確保のための新たな規制の枠組みを設ける」「制度の対象者は、・・・ごく限定的な少数の方々です」「制度の対象となる方の賃金が下がらないよう・・・しっかりチェックします」「行政の判断でこれらが広がることはありません」など、「大丈夫ですよ。心配いりませんよ」と言わんばかりの言葉ばかりだ。

厚労省作成のリーフレット

厚労省作成のリーフレットより

 これではかえって「大丈夫だろうか?」と心配になるだろうから、「こんなに自由な働き方になるんですよ」と具体的かつ積極的にPRすればよいだろうに、そうしない。

 なぜか。そうできないからだ。「自由な働き方」とは、偽りの宣伝文句だからだ。

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確保されていない裁量性

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