厚労省の高プロ制紹介に見る欺瞞。政府は、野党の次は国民を騙しにきた

上西充子
厚労省

千和 / PIXTA(ピクスタ)

高プロの省令・指針に向けた議論が開始

 働き方改革関連法が6月29日に成立し、高度プロフェッショナル制度が2019年4月より職場に導入可能となった。労働基準法の労働時間規制の縛りを外した働かせ方を可能とするものであり、経済界が求めてきたものだ。

 野党と労働団体の反対を押し切って一括法案によって導入に持ち込んだこの高度プロフェッショナル制度について、その具体的な対象業務や年収要件、健康確保措置、同意の手続き、裁量性の確保などを定める省令・指針の策定に向けた労働政策審議会労働条件分科会が10月15日より始まっている(参照:当日の配布資料当日の議事メモ)。

 この労働条件分科会の論点を取り上げたTBSラジオ「荻上チキ・Session-22」の10月22日の番組(参照:TBSラジオによる音声配信)に共に出演した全労連の伊藤圭一・雇用労働法制局長から、番組終了後に教えていただいた厚生労働省のリーフレット「働き方改革~ 一億総活躍社会の実現に向けて ~」(参照:厚労省)を見て、驚いた。野党の追及をはぐらかし、騙し通そうとした政府は、今度は国民も騙しにかかっているのか、と。

リーフレットのトンデモな内容

「別紙1 労働時間法制の見直しについて」のp.7およびp.8が、高度プロフェッショナル制度の解説部分だ。まずはご自身でご覧いただきたい。

高プロリーフレット

厚労省作成のリーフレットより

 どうだろう。様々な疑問が湧くのではないか。

●「本人の希望に応じた自由な働き方の選択肢を用意」とあるが、その「自由な働き方」とは何かが、書かれていない。
●「自由な働き方の選択肢」と言いながら「長時間労働を強いられないよう」と続くのは、変ではないか?
●「対象は高度専門職のみ」「対象は希望する方のみ」「対象は高所得者のみ」「ごく限定的な少数の方々です」と、ことさらに限定性を強調するのはなぜか?「自由な働き方の選択肢」なら、幅広い人にその選択肢が用意されるべきではないか?
●「Q&A」の1番目の内容は、つまりは高収入の方は「残業代ゼロ」になるということではないか?それのどこが「自由な働き方」なのか?

 高度プロフェッショナル制度の中身や国会の議論を知らない人でも、このリーフレットをじっくり読めば、上のような疑問が生じてきてもおかしくない。

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高プロは「自由な働き方」ではない

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