11月にかき氷屋を開いて超速閉店。人気の料理研究家は何を学んだのか?<栄光なき起業家たち#2>

おカネだけでなく時間や信用力も重要

――そもそも、どんなに頑張っても9月じゃないですか。勝算はあったんですか? 五十嵐:多分、勝算という感覚ではやってなかったんですよね。もともと料理研究家という仕事も、所持金四万円で未経験の時に始めたので、勝算あってやってないんですよ。  やりながら改善して最適化していくのは得意なんですが、そのための時間とか信用力がまだなかったんですよね。 ――小さく始めすぎたということでしょうか? 五十嵐:収容力がもっとあれば、リソースを投下すればリターンがあるんですが、14席くらいの小さな店舗だったんです。営業時間も6時スタートで23時までだったので、そんなに大きく儲けられるわけじゃないんですよね。  オープンした後に、カレー屋をやってる友達に来てもらったんですけど、後から聞いたら家賃比率も高く、その時点で「あれは厳しいだろう」と思ったらしいです。 ――プロから見たら「これは駄目だな」とわかったわけですね。 五十嵐:見えないラインがあるんでしょうね。 ――かき氷、利益率は高そうですけどね。 五十嵐:利益率は高いですよ。それから、客単価も、一杯千円位では出してたので、そんなに悪くなかったんですが。人が入るような導線とか、設計ができてれば、かき氷ってかなりいいと思うんですよね。 ――今だったらうまくいくんですかね?五十嵐さんの Twitter もフォロワーが増えてきましたし。 五十嵐:うーん、どうかなあ。普通に個人経営なら余裕で暮らせる収益は出てましたが、貸主と目標を決めていたんです。売上月200万円で、家賃を20万円納めるというところだったのですが、売上が2か月目に月に70万円だったんです。  ただ、キャパシティを考えるとあの場所で月200万円の売上は現実的ではなかったかもしれません。事務所にしたほうがいいよね、ということで貸主と話し合って解散しました。 ――立地が変なところに人が集まってるレストランもあるじゃないですか。熱狂的なファンがいるところとか。ああいうところはどうやって集客しているんでしすかね? 五十嵐:知ってもらっているということが重要ですよね。前の店からのファンがいたり、インフルエンサーがブログに書いてくれたり、メディアで取り上げられたり。  最近は美容室なんかも、奥まった場所にあっても結構集客できるじゃないですか。飲食店でも、しっかりと地に足をつけて集客すればかなり伸びると思います。
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「人に任せる」ことの難しさ
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