モリカケ事件でずさんな会計検査が発覚した日本は、コスタリカの会計検査院に学べ
いまだに尾を引いている政治スキャンダル「モリカケ事件」で注目を浴びたのは、ずさんな公文書管理と会計検査だった。そこで、筆者が毎年行なっているコスタリカ・ピース&エコツアーで、同国の両制度を所管する行政機関を訪れてみた。今回は、会計検査院について触れる。
コスタリカの首都・サンホセ市民憩いの場であるサバナ公園北側。ひときわ異彩を放つ、直角三角形をしたモダンなビルが目を引く。デザイン的に目を引くようなアーキテクチャ(建築様式)がほとんどないコスタリカで、その存在感は群を抜く。遠くからでもよく分かり、近くに来れば決して迷うことはない。
ちなみに、在コスタリカ日本大使館は、この建物の裏側にある。日本からコスタリカにきて、例えばパスポートを紛失したりした場合に、必ず訪れなければならない場所だ。現地で困った方は、まずこの大きな斜めのビルを目印にすると良い。
このアーキテクチャは、先に紹介した国立公文書館(記事参照:モリカケ事件でずさんな公文書管理が発覚した日本は、コスタリカの国立公文書館に学べ)同様、市民に使ってもらうためのアピールの意味を持つ。風変わりなモダニズム建築の会計検査院は、近隣の住所の起点ともなっている。コスタリカの住所は「ランドマークから東西南北どちらかに何メートル行ったところ」と表すからだ。
「市民が会計検査院を可能な限り利用するための、会計検査院側からの努力」の一端が、アーキテクチャからも見て取れる。
コスタリカ市民の意識の中で、会計検査院の存在感は非常に大きい。「会計検査院」という機関があって、そこが公金のチェックをしていることは、ほとんどの人が知っている。それは、単にその建物が目立つからからだけではない。
新聞やニュースでしばしばその仕事ぶりが報道されるので、いやでも市民の目に止まるのだ。現地新聞の見出しを追いかけるだけでも「会計検査院」という文字が日常的に目に入る。
さて、会計検査院の仕事といえば公金のチェックを誰もが思い浮かべる。日本でも、決算期には会計検査のニュースが流れる。ところが、こちらでは年中「会計検査院」という単語が入ったニュースの見出しを見かけるのだ。
正確な業務内容までは知らなくても、行政の中で非常に重要な位置を占めていることは、誰もがそこから感じ取っている。これは、コスタリカの会計検査院が単に決算の数字合わせをしているだけでなく、日常的に行政チェックの業務を行っていることを示す。さらには、その業務をメディアが日常的にチェックし、報道していることも表している。
異彩を放つアーキテクチャ、会計検査院
なぜ会計検査院の存在を、コスタリカの誰もが知っているのか
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