モリカケ事件でずさんな公文書管理が発覚した日本は、コスタリカの国立公文書館に学べ
2018.09.07
足立力也
いまだに尾を引いている「モリカケ事件」。この問題で注目を浴びたのは、ずさんな公文書管理と会計検査だった。そこで、筆者が毎年行なっているコスタリカ・ピース&エコツアーで、同国の両制度を所管する行政機関を訪れてみた。今回は、国立公文書館の訪問記をお送りする。
建築物から違うコスタリカの国立公文書館
「コスタリカの国立公文書館を訪れた人は、その存在を二度と忘れません」
同館敷地入口のテラスで、アーカイビスト(公文書管理官)のマウリーン・エレーラは、そう言って私たちを迎えてくれた。まるでUFOが着地をしたような円錐台形をしたモダニズム建築が、目の前に鎮座する。その理由を、マウリーンはこう語る。
「すべての市民にとって、公文書は利用されるべき貴重な財産だから、皆に“ここに国立公文書館がある”と認識しておいてもらう必要があるからです」
つまり、アーキテクチャ(建築様式)の段階から、公文書館の重要性を強調しているのだ。別稿で述べるが、実は会計検査院も同じようにモダニズム建築になっている。
それだけではなく、司法・立法・行政の三権のいずれからも独立した「第四権」として存在する選挙最高裁判所や、無償医療で市民の命を預かるコスタリカ社会保障金庫も、凡庸な建築物ばかりのコスタリカの中では一度見たら絶対に忘れない、強烈な個性を放つアーキテクチャだ。
ちなみに、日本にも似た形の公的建造物がある。福岡県庁舎の建物だ。正確には円錐台形ではなく八角台形で、亀の甲羅のような形をしている。そのデザインの理由は、新庁舎建設決定当時の知事の名前である「亀井」からとったという噂が地元ではまことしやかに流れ、現在でもそう信じる人は多い。
もし本当だとしたら、アーキテクチャの重要性に関する認識は同等でも、民主主義に関する認識は正反対と言える。その真偽のほどは、元知事が故人となった今では確かめようがない。だが、それを確かめようがないのは、まさに公文書管理がずさんだからに他ならないというのは、皮肉としか言いようがない。
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