自然災害が多発している災害大国なのに、日本の避難所は劣悪
西日本豪雨、関西を襲ったスーパー台風、そして北海道地震と大停電…。わずか2か月ほどの間に、次々と大災害が発生し、各地に甚大な被害を与えた。日本は、いつどこに自然災害が起きてもおかしくない、災害大国であることが改めて浮き彫りになった。
もはや災害大国であることは誰もが認識しているのに、それに伴った対応がなされていない。その象徴が、避難所の劣悪な環境だ。
避難所は体育館や教室、公民館が一般的だ。そのような場所は、そもそも人が寝泊まりできるようにはなっていない。そのため、ただでさえ不安やショックを抱えて避難してきた人々に、避難所の環境が肉体的、精神的なストレスを与えてしまっている。
避難者に生活の不満を聞いたアンケートでは、ほとんどのケースで「1人分のスペースが小さすぎる」「プライバシーがない」「周囲の音や匂いが気になる」「床が硬くてよく眠れない」「トイレの不足」といった声があがる。特に暑さ、寒さに関わる不満は多い。これは生命や健康維持に大きく関わる問題になっている。
西日本豪雨では、猛暑とも重なりサウナのような避難所の暑さが大課題となった。また、2016年4月に発生した熊本地震では、プライバシーがないことや夜の寒さなどを理由に、体育館から出てマイカーで寝泊まりする人が増加した。それによって、エコノミークラス症候群で体調を崩したり亡くなったりするなど、別の問題を引き起こした。
自然災害の発生は防げないが、その後の対応次第では被災者の苦労はまるで変わってくる。それだけに、いつまでも体育館や校舎を避難所として使うことを当然と考えるのではなく、これからは宿泊施設や空いている賃貸住宅などを、国や自治体が借り上げるといった政策も検討するべきだ。
それでも、一次避難的に体育館などを使用せざるを得ない場合がある。少しでも環境を良くするためには何が必要なのか?