モリカケ事件でずさんな公文書管理が発覚した日本は、コスタリカの国立公文書館に学べ

公的アーカイブは、腐敗と闘うのに役立つ

しおり 「長期化する権力は必ず腐敗する」。これは、社会科学的に認められた法則とまでは言えないまでも、歴史の教訓として人類が共有する意識であることは間違いない。だからこそ、政治や行政が腐敗しないことと同じくらい、いやむしろそれ以上に、政治や行政が腐敗したときに対抗するシステムの構築は重要性を持つ。  マウリーンは、国立公文書館ガイドツアーの最後に、こうまとめてくれた。 「国立公文書館の重大な役目の1つは、政治腐敗と戦うことです。これは、市民の皆さん一人ひとりが参加して社会を作るという民主主義によって担保されます」  アーカイブの管理、情報の公開、市民からの情報への主体的アクセス。この3つが機能すれば、モリカケ事件そのものは防げなくとも、その後のドタバタ劇は起こらずに済み、浄化を作用させる段階に移行できていただろう。日本もそろそろ、独立した強い権限を持つ国立公文書館を持つことを検討したほうがいい。なにしろ、コスタリカに1世紀も遅れているのだから。  マウリーンが別れ際に手渡してくれた、コスタリカ国立公文書館で配られているしおりには、こう書いてあった。 「公的アーカイブ(記録)は、腐敗と闘うのに役立つ」と。 「丸腰国家」コスタリカ 次の戦略 第4回 <文・写真/足立力也> コスタリカ研究者、平和学・紛争解決学研究者。著書に『丸腰国家~軍隊を放棄したコスタリカの平和戦略~』(扶桑社新書)など。コスタリカツアー(年1~2回)では企画から通訳、ガイドも務める。
コスタリカ研究者、平和学・紛争解決学研究者。著書に『丸腰国家~軍隊を放棄したコスタリカの平和戦略~』(扶桑社新書)など。コスタリカツアー(年1~2回)では企画から通訳、ガイドも務める。
1
2
3
4
丸腰国家

コスタリカが中米という不安定な地域で軍隊を持たずにやってこられたのはなぜなのか?「理想」ではなく「現実」のもとに非武装を選択した丸腰国家コスタリカの実像に迫る。

バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会