「お客様は神様じゃない」。14年間続けた居酒屋のトイレが、常にキレイだった理由

赤の他人が知り合いになることで、次にトイレを使う人に気遣いが生まれる

たまTSUKIトイレ

「立って用を足さないでください!」ではなく「座ってすれば、記事も読めます」と促す

3)座って用を足すよう促す文言が貼ってある 4)自分が汚したら次の人にバレる  便座の前に立って小便しようとすると、目の前に「おしっこは座ってどうぞ〜すると壁に貼ってある記事が読めます」と書いてある。その通り座ってみると、目線の高さに様々な記事が貼ってあるわけだ。 「ズボンを下ろして座るの面倒だな~」と思うヤカラも、座って記事を読んでみたいと思うかもしれない。アナウンスに従わずに立って済ませて「あっ、しまった。いっけね!」なんて粗相した時、申し訳なく思って自ら掃除する気にもなるだろう。  もし汚したまま出ると、次にトイレに入る人に「さっきの人が汚したんだ!」とバレてしまうことも大きい。だから自ずと汚さないように気にし、汚したらキレイに戻す気構えになるのだ。  当店はカウンターとテーブルが2つの小さな店だ。しかも、俺がそれぞれのお客さんを互いの共通項をネタにして繋いでしまう。店内に居合わせる赤の他人が、飲み食べしているうちに知り合いになってしまうわけだから、次にトイレを使う人に気遣いが生まれるのだ。

オーガニックのお酒かどうかで、こんなに違う

たまtsukiトイレ2

トイレの中には、座ったら読みやすい位置になるよう記事が貼られている

5)お酒がいい  当店で扱っていたドリンク類は、すべてオーガニックに準じたものを揃えた。ビールは原材料に麦芽とホップ以外は使っていないもの。焼酎は、原材料の玄米・米・麦・芋・黒糖が有機無農薬のもの。梅酒は味醂に梅を入れただけで、砂糖を使ってないもの。ワインは南フランスの小さな農家が醸造しているオーガニックのもの。  かつて仕入れていたスピリッツ(ジン・ウォッカ・ラム・テキーラ)やウイスキーも、オーガニックで無添加のものだった。ソフトドリンクでも保存料や着色料などの添加物を入れず、濃縮還元でないもの。お茶類もフェアトレードや有機無農薬や自然の森から採取して天日干ししたものなど。 「市販のものとオーガニックのもので、何が変わるのか?」と思うかもしれない。しかし、確実に違う。例えばビール。本場のドイツでは、麦芽とホップ以外のものを使うとビールとは呼ばない偽物だ。  ところが日本では、たいていのものにコーンスターチが入っている。原料のトウモロコシは外国産で遺伝子組み換え操作されているものがほとんど。味も本物ではなくなるし、体にも環境にも悪いことは様々な分野の研究で分かっている。  当店で扱っていた日本酒は“極み”だ! 「寺田本家」という千葉県の酒蔵が造っている。有機無農薬の米を使い、麹も蔵人が育てる田んぼの稲から探し、蔵に住み着いている酵母で発酵させる。微生物にふんだんに活躍してもらった酒である。余計な人工物を一切入れない。実は、この当たり前で伝統的なことをしている蔵は、今や皆無と言っていい。  この酒は、飲んで美味いのはもちろん、酔いが朗らかで抜けが早く、悪酔いしない。二日酔いがないどころか、むしろ目覚めよく早起きできる。肌の潤いが増し、翌日の便が快調になる「紙要らず1本出し」。飲んで健康になる酒なのだ。  こうしたアルコール類を飲んでも、そうそう悪い酔い方をしない。なのでトイレを汚す可能性が断然低くなるわけだ。しかも快調な便になるのだからなおさら匂いも少ない!  実は開業から2年ほど、他の蔵の日本酒も扱っていた。「日本酒が苦手」というお客さんが、寺田本家のお酒を飲んで気に入り、5杯も飲んだ。なのに翌日に二日酔いなく体調が良かったという。気を良くして翌週も来てくれた。 「せっかくだから今日は寺田本家以外のお酒を飲みたい」と言った。俺が好きで仕入れていた有名な純米酒を出した。すると、彼は3杯目に入るまでもなく、トイレで吐いた。弱いと言っていたのは本当だった。翌日も気持ち悪くて体がだるかったらしい。そうした例が多々あった。それで俺は様々な学びと気づきを得て、徐々にオーガニックの酒だけを扱うことにしたのだ。
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