「より働かないようにする」工夫で、顧客満足度も利益率も上がった
メニュー表からメニューが少しずつ減っていく
売り上げを意図的に減らすのはそう難しいことではない。営業時間、営業日を減らせばいい。開業から8年目には週休3日にした。
メニューを減らすのも面白い。普通、人気のないメニューを減らすのだろうが、俺の場合は人気があろうとなかろうと、仕込みや買い出しの手間や在庫管理に時間がかかるものをメニューから減らした。
人気だった焼き鳥をやめた時は、俺自身も寂しかったが、仕込み時間が30分~1時間くらい減った。肉料理がなくなって野菜料理だけになった分、油ものが減ったので洗い物も楽になったし、店から流れ出る下水を汚さないことにも貢献できたと思う。
メニューを減らしたことは売り上げやお客さんを減らすことには繫がらなかったが、労働時間が大幅に減った。それだけじゃない。品数が減るのだから、メニューに残した食材の回転率が高まり、より鮮度の高いものになった。ゆえにお客さんの満足度も上がる。「野菜料理」「エコロジー」「健康」「より働かない」という店の「売り」が向上したのだ。
メニューが減った分、仕入れがシンプルになって減価率が下がり、利益率も上がった。そうして14年間かけてメニューをどんどんシンプルにした結果、仕込みは平均45分くらいになった。開店時間が18時なので、17時に店に行けばいいのである。店は24時に閉め、なるべく25時過ぎには家で寝るように試みた。すると朝7時か8時には起きるので、週4日の営業日でも朝から夕方までは自由時間になる。