新路線の着工も。高齢ドライバー問題の解決策にもなるか、「路面電車・LRT」ルネサンス

境正雄
 少子高齢化による利用者の減少や運転士不足などに悩まされている、日本の公共交通機関。切り札としてイメージしがちなのは無人運転バスなどだが、実は路面電車が脚光を浴びていることをご存知だろうか? “リバイバル”とも言える現状を追った。

コンパクトシティ、バリアフリー化に適合

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欧州では今でも都市部の主要交通機関として活躍する路面電車。渋滞緩和にも繋がっている

 このところ、路面電車が脚光を浴びている。5月28日には栃木県の宇都宮市と芳賀町を結ぶ新規路線が起工式を執り行ったのを筆頭に、全国各地で路面電車(LRT)の計画が広がっているのだ。

 たとえば、東京都の豊島区は、池袋駅からサンシャインシティまでを環状運転で結ぶLRT路線を計画中だ。さらに、岡山県を走るJR吉備線は現状の鉄道としての運行からLRTへの切り替えを検討中。富山市の富山ライトレールは、もともとJR富山港線だった路線をLRTに切り替えて成功を収め、富山市の推し進めるコンパクトシティ政策の中軸を担う公共交通機関としても注目を集めている。

 では、なぜこれだけ路面電車が注目されるにいたったのか? 路面電車事情に詳しい鉄道ライターは次のように説明する。

「今注目を集めているのはいわゆるライトレール、LRTで路面電車とは少し違います。路面電車はその名の通り道路上の併用軌道をはしる路線のこと。それに対して、ライトレールはホームからほぼノンステップで乗ることのできる超低床車を用いて道路上ではなく専用軌道を走る路線を指すのが一般的です」

 LRTは、地下鉄やモノレール、新交通システムなどよりも建設コストが安く、さらにバリアフリー化も容易というメリットを持つ。輸送力こそ劣るものの、鉄道ほどの大量輸送が求められない地方都市にはまさにうってつけの交通機関というわけだ。

「かつては、東京や大阪などの大都市はもちろんのこと、全国各地に路面電車が蜘蛛の巣のごとく路線網を広げて走っていました。ただ、’60年代以降のモータリゼーションの進展に伴い、渋滞対策として原則禁止だった軌道内へのクルマの乗り入れが解禁されていったんです。それにより、路面電車も渋滞に巻き込まれて身動きが取れなくなり、不便な乗り物として利用者離れが進んだ。そして多くの都市では路面電車が廃止されたり、路線が縮小されていきました」

 しかし、それから半世紀が過ぎて事情も変わってきた。輸送一人あたりのCO2排出量の少なさや定時性、バリアフリーなどのメリットを活かすことができれば、地方都市で決まって見られる渋滞の解消にも貢献することが期待されているのだ。

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認知度不足が足かせに

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