拡散装置はどこにでも存在する、特にネトウヨ拡散装置は
2017年の段階では、ツイッター全体の5%から15%がボットという記事や約3億の月間アクティブアカウントに対し4,800万アカウントがボットという
報告もある。これらはボットなので、トロールと呼ばれる人手による拡散アカウントを加えると、さらに全体に閉める拡散用アカウントの比率は上がる。ここではボットとトロールの両方を合わせた拡散用アカウントを
拡散装置(amplifier)と呼ぶことにする。
電子メールにおけるスパムの割合は計算方法や測定時期によって変動するが、少なくとも15%、多いものでは70%という推計値もある。ツイッターでもスパムメールなみに拡散装置が稼働していてもおかしくない。
試しにいわゆる体制側=自民党議員、右寄りの発言の多い文化人のフォロワーでよくリツイートを行う人々のデータを確認すると多くが1日に100を超えるツイートを行い、しかも90%以上がリツイートだったりする。分析に当たってはMentionmappでリツイート数上位アカウントを抽出し、その後個別にツイートとリツイートの比率を計算した。Mentionmappは直近200ツイートを対象に計算するので、限られた範囲での観察となる。Mentionmappには定点観測の機能もあるので、それを使ってより広い範囲での解析を行う予定である。今回、ご紹介するのはあくまでも現時点での限られたデータを元にした仮説ということになることをご承知おきいただきたい。
ちなみにネット世論操作などを調査しているデジタル・フォレンジック・ラボの基準では1日のツイート数が72を超えてくるとボットの疑いが出てきて、144を超えるとかなり怪しいということになる。(参照:「
DFRLab」)
この基準に当てはめれば、体制側=自民党議員や右寄り発言の多い文化人のフォロワーでよくリツイートをする人々は、ボットの疑いが濃いということになる(ちなみに元記事には12のチェックポイントが解説されており、他のいくつかの基準にもあてはまる)。仮にボットでないにしても、ほとんどがリツイートであれば拡散装置と言えるだろう。
ネトウヨ拡散装置の活動をwhotwiというサイトで分析してみると、
図3-1、
図3-2のようになる。
図3-1 ネトウヨアカウントの傾向(例)
図3-2 ネトウヨアカウントの傾向(例2)
ツイート傾向はどちらもほぼ同じでリツイートが90%を超える。そして活動が見事に曜日によって別れている。誰かがシフト表を組んで割り振っているかのように思えてしまうが、これはたまたま抽出したサンプルがそうだっただけである。ただし、活動の曜日や時間帯が偏っている傾向は多数に見られた。分析対象を増やせば本当にシフトを組んでいるのかどうかや、母数なども推定できるかもしれない。
相互にリツイートし合っているアカウントも多く、ネトウヨ拡散装置同士で拡散するボットネットを構成しているように見える。
用心深いアカウントは、
図4のようにwhotwiで解析拒否の設定をしている。