電気も通らないモザンビークの村に日本人が銀行を設立!

足立力也

従来の経済構造の“外側”に新しいお金の流れを作る

合田さん

現地農村の典型的家屋を訪れる合田さん。夜に屋内を照らすランタンもヤトロファ燃料発電で充電

――壮大な話になってきましたね。 合田:現在、その構造は中央銀行システムによって形作られています。これは、1694年のイングランド中央銀行創設にまで遡ります。 合田:それまでは、王様や領主だけが通貨の発行権を持っていました。一方、商業の世界では、各ギルドが発行していた「信用状」などの形で、リアルマネーである貴金属や硬貨をはるかに上回るバーチャルマネーが流通していました。その“バーチャルな紙”に王様が権威を付与したのが、現在の紙幣の始まりです。 合田:中央銀行システムの構築によって、紙幣が国をひとつの経済圏に統合し、流通がスムーズになりました。さらに為替システムが組み合わさって、現在の通貨システムの基礎が完成します。その頂点に君臨するのが基軸通貨としての米ドルです。各国の通貨は序列化していて、日本円は米ドルと深く紐づいているから、モザンビークの現地通貨より強い。私自身が感じた違和感の根源はそこにあるというわけです。 ――その構造を変えようと考えているのですか? 合田:というよりも、従来とは違うタイプの銀行を設立することで、その構造の“外側”に新しいモノとお金の流れを作ってみようということです。 ――具体的にはどういうプランを考えているんでしょうか? 合田:決済手数料で利益を確保し、その2割を預金者が住むコミュニティに還元する銀行です。それを原資として、村のインフラ整備や教育への投資、農業支援などにつながればと考えています。その点でもサポートしていきたい。 日本植物燃料の事業概念――生活基盤を整えることで住民の生活も向上し、経済も発展しますね。 合田:もちろんビジネスですから、会社の儲けも考えています。でもそれは、数百年ずっと続いてきた「格差を拡大するシステム」に与するものではなく、持続可能なコミュニティづくりに貢献するものにしたいと考えています。 ――勝算はあるんでしょうか? 合田:アフリカの総人口の3分の2、6億人以上が非電化地域に住んでいますが、携帯電話の普及率は5割です。彼らは既存の銀行システムに組み込まれておらず、一足飛びにモバイルバンクのシステムに移行する条件は整っていると思います。地域の発展がない経済発展はありません。“中央”や“頂点”に吸い上げられず、地域でお金が回るコミュニティを作ることが、社会全体の発展にとって重要だと考えています。弊社のミッションは、持続可能なコミュニティ経済を作り育てるサポートをすること。それによって、既存の経済構造から疎外されてきた人たちが貧困状態から脱却することです。
合田さんが作った売店

合田さんが作った売店は、村人たちが集うコミュニティセンターの役割も持つ。

――地域コミュニティへの投資内容はどうやって決めるんですか? 合田:預金者が、還元金の使い道に対して「投票権」を持つ形にするんです。つまり銀行に預金口座を開設すれば、自分のコミュニティに関わる決定権を持てるということ。モザンビークは25年前まで内戦が続いていました。隣人同士が殺し合っていたのですから、内戦後のコミュニティ再建は深刻な問題です。そこで、自分たちの経済活動で生まれた利益を共同体に還元して、話し合って使い道を決める。私たちはそのサポートをする。農業、エネルギー、銀行を組み合わせて、生産した食糧やエネルギーをみんなが平和的に分かち合える、新たな経済モデルが構築できればいいなと思っています。
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社会貢献できる「ESG投資」がある
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