スマホやノートパソコンがあれば、ほとんど用が足りる時代になった(写真/佐々木典士)
「消費が長らく低迷している」と言われている。
人口減少と消費旺盛な世代(団塊の世代)の高齢化が、その大きな理由なのは間違いない。また、識者や企業側の分析では「将来への不安」「賃金の低下」などが列挙される。
だから政府も産業界も「経済成長を!」と言いつつ「分配を!」とも言い、とにかく消費を促そうと躍起になっている。
だが、なんだか的外れで痛ましく、品がない。それどころか、こっぱずかしくすら感じるのはなぜだろうか。
経済成長を願って打ち出された、無駄で意味のない茶番的政策を散々と目の当たりにしてきたこと。結局は何をやっても消費が上向かない現実。そして多くの人が、そもそも「消費」という原則が崩れてきていることに気づいていない、あるいは目を伏せているからだ。
人口減少社会では、消費拡大社会とは反対の行動が必要
『楽しい縮小社会』著者の松久寛氏によると、日本最大の広告代理店・電通のグループ会社である電通PRは1970年代、「戦略十訓」として以下のようなことを掲げていたという。
「もっと使わせろ/捨てさせろ/無駄遣いさせろ/季節を忘れさせろ/贈り物をさせろ/組み合わせで買わせろ/きっかけを投じろ/流行遅れにさせろ/気楽に買わせろ/混乱を作り出せ」
私たちは無意識の間に「消費」という罠に踊らされ、脅されてきたわけだ。しかしこれは日本経済が上向きで、消費がどんどん拡大していった時代の話。現在は使われていないらしい。
そこで、松久氏は「人口減少の社会ではその反対をすればいい」と、以下のような行動を提案する。
「できるだけ使わない/捨てない/無駄遣いはしない/季節に応じた暮らしをする/贈り物はしない/セットでは買わない/きっかけに踊らされない/流行は気にしない/衝動買いはしない」