運用が難しく金食い虫……。日本が導入を検討する「早期警戒衛星」ってどんなもの?

米国が運用する早期警戒衛星「SBIRS」の想像図。日本もこのような衛星の開発、打ち上げが検討されている Image Credit: Lockheed Martin

 新聞各紙は6月14日付で、2019~23年度に予定されている次期中期防衛力整備計画に向け、自民党の安全保障調査会が中間報告原案をまとめたと報じた。その中には、北朝鮮のミサイルなどに対抗するために、新型のミサイル迎撃システムや敵基地の攻撃能力、そして日本独自の「早期警戒衛星」を保有すべきとの提言が含まれているという。

 日本は1998年に起きた、北朝鮮による「テポドン」発射事件を受けて、事実上の偵察衛星である「情報収集衛星」の導入を決定。2003年から打ち上げが始まり、現在までに当初計画されていた光学衛星2機、レーダー衛星2機を基本とする4機体制が整備されている(詳しくは拙稿『宇宙から地表を監視する「情報収集衛星」の打ち上げ成功――その意義と課題』を参照されたい)。

 一方、今回保有が提言されている早期警戒衛星は、いわゆる「軍事衛星」に分類される衛星という点では同じなものの、情報収集衛星のような偵察衛星とはまったく異なる種類の衛星である。その特徴や役割、そして日本に導入する場合の課題について見ていきたい。

ミサイルから出る熱で発射を探知する早期警戒衛星

 早期警戒衛星はその名のとおり、ミサイルの発射を早期に探知し、政府、軍、迎撃ミサイル・システムに警戒を出すことを目的とした衛星である。英語では「Early Warning Satellite」と呼ぶ。

 いわゆる偵察衛星と呼ばれる衛星とは、地球を見る方法と、そのデータの使い方に違いがある。偵察衛星は高性能なデジタルカメラである光学センサーか、もしくは電波を使うレーダーを積んでおり、これら「目」として使って地表を撮影する。

 地上のある特定の地点を見られるのは、1日~数日に1回(軌道によって変わる)で、たとえば前日に撮影した画像と、今しがた撮影した画像とを見比べ、車や人の動きなどの変化から、そこで何が行われているのかなどを分析する。最近のニュースで、「北朝鮮の核実験施設で活発な動き」とか「バレーボールをやっているようだ」と報じられることがあったが、その情報は主にこうした偵察衛星が撮影した画像をもとに分析されている。

 一方、早期警戒衛星は積んでいる「目」が異なる。通常のカメラでは、どこかからミサイルが発射されたように見える画像が撮影されたとしても、もしかしたら飛行機や雲の動きを見間違えたのかもしれないし、あるいはミサイルが迷彩色をまとっていれば、そもそも見えない場合もある。

 そこで早期警戒衛星は、赤外線で地表を見ることができる「赤外線センサー(カメラ)」を積んでいる。監視カメラなどでおなじみの赤外線は、熱を発しているものから出るという特徴がある。そしてミサイルからはロケット・エンジンやロケット・モーターから高温のガスが噴射される。小型ミサイルだろうが大型だろうが、迷彩色になっていようがいまいが、ロケットからはかならず高温のガスが、すなわち強い赤外線が出ることになる。

 そのミサイルの発射時の熱を、宇宙から赤外線センサーで探知し、そして即座に迎撃ミサイルなどに知らせるというのが、早期警戒衛星のしくみと役割である。

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