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発射されたGBI Image Credit: MDA
今回のような試験は今後も継続的に行われる予定だが、それと並行して、すでにGMDは米国に配備されており、ICBMの飛来に備えている。
もっとも、GMDはこれで完成というわけではなく、現在も改良型の弾頭や、さらに前述した弾頭を複数もつICBMの迎撃に対処できる弾頭などの開発が進んでいる。
なお、今回の試験にからんで、このところ弾道ミサイルの発射をくりかえす北朝鮮やイランへの圧力や牽制といった見方もあったが、それは半分間違いであるが、半分は正しい。
今回の試験は以前から実施が予定されていたものであり、またミサイルの発射試験は思い立ったが吉日というわけにはいかず、事前に施設使用の申請や関係機関との調整などが必要になる。つまりこの日、このタイミングで試験が行われたのは、まったくの偶然にすぎない。
しかし前述のように、GMDのようなICBM迎撃ミサイルの開発は、かねてよりイランや北朝鮮といった国々の脅威があったからこそ行われたものであった。
今回のような試験を通じてGMDの性能をアピールすることで、米国にミサイルを向けている、あるいは向けようとしている国々に対して、ICBMを撃っても無駄であり、かえって一方的に反撃を受けるだけだという、一定のメッセージとなったところはあろう。
仮に北朝鮮がICBMの開発に成功し、米国へ向けて発射されたとすれば、飛行コースの関係などから、日本にできることはほとんど何もない。とはいえ、現在日本を狙っているノドンや北極星2型といったミサイル技術が、ICBMの技術に直結していることを考えれば、まったくの無関係ともいえない。
ミサイル防衛システムの構築を進めつつも、実際には撃たずに済むように、そもそも相手がミサイルを撃たないようにするための努力が、今後より一層求められる。
<文/鳥嶋真也>
とりしま・しんや●宇宙開発評論家。宇宙作家クラブ会員。国内外の宇宙開発に関するニュースや論考などを書いている。近著に『イーロン・マスク』(共著、洋泉社)。
Webサイト:
http://kosmograd.info/
Twitter: @Kosmograd_Info(
https://twitter.com/Kosmograd_Info)
【参考】
・MDA – MDA News Releases(
https://www.mda.mil/news/17news0003.html)
・MDA – The Ballistic Missile Defense System(
https://www.mda.mil/system/system.html)
・The Ballistic Missile Defense System(
https://www.mda.mil/global/documents/pdf/bmds.pdf)
・Ballistic Missile Defense Intercept Flight Test Record(
https://www.mda.mil/global/documents/pdf/testrecord.pdf)
・Raytheon: Kill Vehicles(
http://www.raytheon.com/capabilities/products/ekv/)