米国、大陸間弾道ミサイルの迎撃試験に初めて成功。米国本土を守る迎撃ミサイルの実力

鳥嶋真也

ICBMから米国本土を守るためのGMD

⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=141889

GMDで使われるミサイル「GBI」 Image Credit: MDA

 今回試験されたGMDは、このうちミッドコース・フェイズで、ICBMの迎撃を行うことを目的に開発されたシステムである。
 自衛艦などにも搭載されているSM-3もミッドコース・フェイズでの迎撃を担うが、洋上の船から発射する都合上、ミサイルの大きさに限界があるため、射程は短い。そもそもSM-3は短距離ミサイルから中距離弾道ミサイルまで、ICBMより短い射程の、多種多様なミサイルの迎撃を念頭に置いており、そこまで高く遠くまで飛ぶ性能は求められていない(もっとも、最新型のSM-3ではICBMの迎撃も可能とされる)。

 一方でGMDは、「ICBMから米国本土を守る」という明快なコンセプトをもっている。そもそも在日米軍基地などを除く、米国の本土にまで届くミサイルというのは、大陸の間を越えて飛べるミサイル、すなわちICBMしかない。

 また、ICBM(に限った話ではないが)には、複数の弾頭が搭載されていたり、高高度の空中で起爆したりするミサイルもあるため、ターミナル・フェイズでの迎撃では間に合わないこともある。そのためミッドコース・フェイズで潰しておく必要があるものの、そのときICBMが飛ぶ高度は1000~2000km、速度も秒速約7kmにもなる。

 それを迎撃するため、GMDで使われるミサイル(「GBI」という)は、SM-3よりも高い高度まで飛ぶ必要がある。

 それと同時に、敵のミサイルに当てるための弾頭もより大型で高性能のものが必要になる。GBIの弾頭には、エクソアトモスフィリック・キル・ヴィークル(EKV)と呼ばれる、小さな人工衛星のような装置が搭載される。ミサイル本体から切り離されたEKVは、小型のロケットを細かく噴射して、目標のミサイルとちょうどぶつかるように調整しつつ飛行し、そして体当たりする。同様の弾頭はSM-3なども搭載しているが、GBIで使われるそれはより大型かつ、性能も高い。

 当然、それを打ち上げるミサイル本体も大きくする必要があり、SM-3の質量は約1.5トンなのに対し、GBIは約21.6トンもある。

 この大きさ、そして米国本土を守るという前提があることから、発射は地上に設けられた固定式の発射台から行うことが前提になっている。

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GBIの弾頭「EKV」の想像図。機体から飛び出ているワイングラスのような形の部分がエンジンで、この噴射でガンダムに出てくるファンネルのように動いて軌道や姿勢を調整し、目標のICBMにぶつける Image Credit: Raytheon


 ちなみに、GMDが撃ち漏らした場合は、ターミナル・フェイズでの迎撃を担当するPAC-3やTHAADが最後の砦となる。

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迎撃試験成功の意義
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