わずか1年半で月商3000万円!ブラック企業リーマンが「BUYMA」転売で一攫千金を摑んだわけ

順調だった売上がいきなり4割減

 当時を振り返って渡邉さんはこう語る。 「BUYMAで売れてる商品は『人気順』でソートすれば一発でわかるんですよね。だからソート結果を見て、私と全く同じ商品を仕入れて100円安い価格で出品するライバルが、3、4人現れました」  渡邉さんがBUYMAに出品している商品数は約1000点。それをそっくりそのままモノマネ出品するライバルまで出現した。同一商品を扱う以上、差別化できるポイントは価格のみとなり、たちまち値下げ競争に巻き込まれる格好に。結果、売上は4割も下がってしまった。 「上手く行ってる人をモデリング(真似)するのは、新規参入者にとっては合理的な戦略です。だからパクる側が悪いのではなくて、パクられるようなやり方をしている自分に問題があると考えました」

モノマネされない2つの参入障壁

 対策として容易にパクられない参入障壁を築くことにした渡邉さん。その方法とは? 「2つのアプローチを試みました。ひとつは、ブランドの卸しの権利を取得することです」  とはいえ、個人でそのようなことが可能なのだろうか? 「実は個人でも卸取引は可能です。ブランドサイトの最下部に『wholesale(ホールセール)』というリンクがあるので、そこから問い合わせのメールを送るだけです」  渡邉さんによると、メールでのやりとりはグーグル翻訳レベルで十分。どうしても電話でやり取りする場合、クラウドソーシングで翻訳者を雇うという。アクセサリやサングラスといった小物系を扱うブランドは比較的狙い目とのことだ。 「コツとしては、いきなり値引きの話を持ち出すのではなく、『ホールセールの条件を教えてくれ』と切り出すことです。あとは日本での取引実績が豊富なバイヤーであることをアピールすることですね」  交渉が成立する確率は1割くらいで、数をあたるのが重要だという。 「2つ目は、真似できない価格での仕入れです。具体的には海外セレクトショップで大口購入顧客、VIPになるのです」  セレクトショップのVIPになれば、「有名ブランド品でもセール時に2~3割引で購入できるほか、様々なメリットがある」と、渡邉さん。 「アメリカのセレクトショップは、買う意志をきちんと示せば、誰にでも売ってくれる感じです。最初は小ロットから取引して、2回、3回と仕入れを重ねることで、最終的に6割引きで購入したこともあります。ヨーロッパの場合、通常22%課税される付加価値税が海外購入者は非課税となり、現地バイヤーよりも安い価格で仕入れられます。このメリットは絶大です」  このほか、仲良くなったショップからはレセプションの招待状が届くこともあり、モデルや芸能人、セレブといった人達と交流が持てるという。地道な開拓を続け、1件新規取引がはじまると月の利益が100万円上積みされることもあるそうだ。
次のページ
ただの転売では終わらせない
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会