一見、愛想の良い店員でも、とある微表情が売上を下げることがある
こんにちは、微表情研究者の清水建二です。
接客業に欠かせない表情は、何と言っても笑顔ですよね。店舗に入った瞬間、店員さんの笑顔で迎え入れてもらうことは心地よいですし、接客を受けている間に垣間見せてくれる店員さんの笑顔に心だけでなく、財布の紐も緩みます。
しかし、ときに「その笑顔、何か違くないですか?」あるいは「その笑顔、何か変。」ということを感じることはないでしょうか?もしくは店員さんやサービスに対して具体的な欠点が思い浮かばないにも関わらず「何となくあの店にはもう行きたくないな。」と感じた経験はないでしょうか?
本日は、そんな接客業にまつわる表情についてご紹介したいと思います。
様々な研究から、店員さんの笑顔が商品の売り上げに貢献し、顧客満足度を高め、チップの額を増加させることが知られています。
もちろんこうした研究など参照しなくても、経験的に笑顔を見せてくれる店員さんに心地よさを覚え、それがサービスの消費にも影響を与えるのは当然だと思えます。したがって、サービス業を営む経営者が、笑顔での接客を従業員に求めることになるのは自然の成り行きです。
しかし、笑顔の質と量との関係を調査した研究から、顧客満足度は笑顔の量より質に影響を受けることがわかっています。つまり、私たちは多くの「愛想笑い」より、回数は少なくても「真の笑顔」をしてくれる店員さんのサービスに高い満足を感じるのです。お客さんである私たちは、店員さんの笑顔を観て、本物の笑顔か作り笑いかを区別し、マニュアル一辺倒の作り笑い対して「何か変。」と感じ取っているのかも知れません。
それでは、作り笑いをする店員さんにはどのようなマイナスの影響があるのでしょうか?いくつかの研究によれば、感情を偽って作り笑いをする店員さんの方が真の笑顔をする店員さんより、感情的に消耗し、心理的負担が大きくなることがわかっています。これに関することとして、必要に駆られて意図的に生み出す感情と自分の自然の感情とが一致しないことが頻繁にある職種の方々は、公私問わず自分の自然な感情を持とうとすることを止めてしまうという報告が多々あり、本当の感情を抱けなくなってしまう危険性が指摘されています。
礼儀や挨拶のための作り笑いはコミュニケーションの潤滑油として必要だということは言うまでもありませんが、その「作り」の度が過ぎてしまうとお客さん・店員さん双方にとってマイナスに作用してしまうのです。