「ダメおやじ」(1978)では趣味漫画に ©ファミリー企画
――でも、アウトドアって大人の趣味ですよね。よく少年誌であれがウケましたよね。
古谷:ダメおやじが釣りをやったのをみて、『ビックコミック』の編集の人が「視点を変えてこれをやったら絶対面白くなる」と言って、やまさき十三さんと北見けんいちさんに声をかけて『釣りバカ日誌』が出来た。だから「ダメおやじがあったから釣りバカが出来た、古谷さんのおかげだよ」と北見さんにお礼を言われた。でもそっちのほう有名になっちゃって、たくさん稼いで、映画もたくさん作られたんだから、すごいよね。
――『ダメおやじ』終盤はめまぐるしく展開を替えて、連載は1982年に終わります。
古谷:最後は本当に最下位のほうを低迷してましたね。もう頃合いかなあと。12年も続いた連載なんて、当時はそう無かったんですよ。でも、「こち亀」は最近まで続いていたからすごいですよ。あれは一生抜けないだろうね。秋本治さんの才能は半端ないなあと。
――僕は『ダメおやじ』の終わり方は好きなんです。3話くらいかけて、過去の登場人物たちがみんなダメおやじのパーティーに参加するために山に集まるっていう。今で言うフェスみたいな感じで。
古谷:ノッているときは、その世界に自分自身が入っちゃうからどんどんエスカレート出来たんですよね。
――後の『BARレモンハート』のマスターも『ダメおやじ』の後半で既に登場していて、最終回にも出てきます。
古谷:少年誌だけど、ダメおやじがメガネさんと「バーうんちく」に行った話を描いて、僕自身が面白かったんですよね。だから次の漫画のテーマにしようって。その延長線上で『BARレモンハート』を描くわけです。テレビドラマにもなって、それなりに床屋さんとかで読まれてるけど、「面白いけど酒のことはわかんねえな」とよく言われる(笑)。マニアックな感じではあるけれど、他の人がやってないし、自分酒も詳しいから、酒の漫画を描いてやろうと。