1万人を面談した産業医が考える「働き方改革」を誰も推進したがらない本当の理由

仲間をクビにする勇気はあるか?

 第2の理由、それは本当に仕事が効率化・合理化されると、自分自身の仕事がなくなってしまう可能性を多くの担当者が気づいているということです。たとえ今自分は職を失わないとしても、自分の推奨した合理化の結果として同僚が職を追われるという事実、「自分もいずれは……」というリスクを背負う気持ちを、私たちの多くは持ち合わせていないのが実情ではないでしょうか。  終身雇用を前提にその対価として会社に身も心も時間も捧げ、忠誠を果たしてきた自分や仲間の仕事をクビにする(クビの危険に晒す)大義はそうそう誰も持っていないのです。これは数年ごとに国家公務員の天下りが問題になっても結局はなくならないことからも明らかです。日本における負の文化、“お互い様”なのです。  外国では雇用の流動性が日本よりもありますので、転職に対するハードルは日本よりは低いと聞きます。景気の波に応じて雇用者の人数が増減することは、いいこととは言い切れはしませんが、みな慣れたものです。雇用の流動性は日本における働き方改革実現のための解決策につながる基礎的な部分になるでしょう。しかし、それには時間がかかりすぎます。  ではどうすればいいのでしょうか。

日本の有給消化率は世界ワースト!

 私は日本人のワークライフバランス推奨のために新しい制度は必要ないと考えます。それよりも現行の制度をしっかり活用することこそが近道でしょう。例えば、有給休暇の取得率の向上を企業単位で目指すことです。有給を取ることは、気分転換になるだけでなく、直接残業時間を減らすことにもなります。なぜなら、休んだ日は、そもそも残業ができないからです。  現在、日本の有給休暇取得率の平均は約47.6%です(参照:「平成27年就労条件総合調査結果」)。エクスペディア・ジャパンの調査では、有給休暇消化率を国別に比較すると、2016年は日本が50%で、アメリカやドイツ、韓国など主要28か国中、世界最下位だったとのことです(参照:有給休暇国際比較調査2016)。
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有給消化率を改善させた”ある企業”
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