1万人を面談した産業医が考える「働き方改革」を誰も推進したがらない本当の理由

 昨今の過重労働(長時間労働)や違法残業が多くのメディアで取り上げられています。

 そのような中、残業時間に年間720時間の上限を設けたり、毎月最終金曜日は3時とするプレミアムフライデーの導入が検討されています。

 ワークライフバランスは大切です。しかし、安倍内閣の推奨する働き方改革は、過労死という言葉に代表される日本人の働き方の問題を本当に解決してくれるのでしょうか?

 1万人の働く人と面談を通じて経営陣と労働者双方をみてきた産業医の答えは残念ながら「否」です。今回はその2つの理由と、この問題の解決の方向について述べてみたいと思います。

photo by acworks

会社に“滞在していること”が評価される価値観

 まず第1に、いろいろな名称で労働時間に制限や強制的な休養時間を設けても、その分の仕事を“いつ”“誰が”やるのかが解決できなければ、自分にそのツケ(仕事)が回るだけとなることが明らかだからです。

 このような指摘には毎回仕事の効率化・合理化が声高に唱えられます。効率化により、仕事時間を減らしてその時間を休みにしようというわけです。ごもっともですね。しかしここに、長年解決できていない問題が潜んでいます。

 それは会社に“滞在していること”を評価してしまう価値観です。成果(結果)主義が声高に叫ばれる中、結果を出すために時間を投資する(残業を多くする)人たちもいますし、反対に、結果が出ないからこそ、会社に“いる”ことで“やる気”を示そうとしてしまう人たちもいます。週40時間を超えて働かない権利や有給休暇を取得する権利は、働く人の持つ数多くの不安の前に実行できていないのが現状です。

 その対策としては、人々の意識改革のみならず、各労働者の仕事の成果を時間あたりで評価するような“時間軸”を含んだ評価方法の導入が必要なのかもしれません。実はこのことに気がついている企業はそれなりに多いと思います。しかしながら、“時間あたりの結果”という人事評価制度が普及しないのはなぜでしょうか。そこに、私が働き方改革を進めても結局は何も変わらないと考える2つめの理由があります。

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