1万人を面談した現役産業医が指摘する「健康的な長時間労働」のための3つの提案

スローライフスタイルの社員に必要な制度は?

 スローライフスタイル制度の社員に対しては、新たな法律や仕組みよりも、まずは現状の法令などをしっかりと厳守します。  その上で必要に応じて、例えば、従業員がメールを送受信してはならない時間帯を定めるオフラインになる権利(2017年1月1日より仏国で施行)や、従業員の休暇中はすべての新規メールが自動削除されるという制度(独国ダイムラー社が2014年に導入)など、すでに前例のある制度を研究し自社に合わせて導入すればいいと思います。  毎日の休息時間を確保するため、退社後11時間は出社しないというようなインターバル制の考え方は欧州では1990年代から導入されていますが、日本では数%しか導入されていません。  また、最近のIT技術を使えば、1日に業務PCにログインできる時間を制限することや、業務終了時にログオフするとその後12時間はログインできないようなシステムの構築は可能なはずです。  このようなことをしようとすると、いろいろな負担が企業にもあります。この企業負担を超える成果を出せる社員であれば、プロのスポーツ選手ならぬプロフェッショナル社員として、企業もその健康障害リスクをきちんと考え、しっかりベネフィットを提供しようということです。  同時に当然のように、結果が伴わなければ年俸を下げたり、労働契約の解除を現状よりも容易に可能とするような、プロフェッショナルとしての厳しさも含めていいと思います。  つまり、本人の自由意志のもと、時間をいとわず働くことを許容する人には、企業は責任を持って対処すること。同時に、社員が自らガンガンスタイルを選ぶ以上、会社に認められる=見える結果を日頃から出すこと。この2つの意識が徹底されるべきでしょう。  とはいえ、いきなりこのような制度を導入しても、戸惑う人がほとんどでしょう。そこで最後に、経営者にも社員にも両者に考えはじめていただきたいことが1つあります。
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経営者も社員も考えるべきこととは?
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