締切間際の「ストレスチェック」。実施強要が逆に社員のストレスを増幅させている

背景や利点を説けばストレスは軽減される

「会社とは、組織とはそういうものだろう。強制することで管理・統率をしているから、大人数をまとめることができるのだ」……。このような意見も事実、聞こえてきた。管理の必要性の側面があることも否定しない。しかし、私は、明示的か非明示的かは別として、管理が行き過ぎて、強制することが蔓延ってしまっていることが、ストレスを増幅しているように思えてならない。  ストレスチェックの案内発信部門は、一生懸命、職務に忠実に、この案内を発信しようとして、実施義務を社員に課すように受け取られてしまい、業務時間内に実施することを強制しているような案内を出してしまった。同じ内容の案内を出すにしても、強制しているように受け取られない文章にすればよかったのだ。 「必ず11月までに実施してください」と書くかわりに、「ストレス状況を、他ならぬ自分自身で確認するよい機会だと思いますので、是非、ご利用ください」「事業所に課されている実施期限は11月末です。担当者である私の対応が遅れて、間際の案内になってしまいましたが、ご無理ない範囲で実施していただければ幸いです」という文章にすれば、まだ、ストレスを与えるリスクは軽減されるのではないか。  強制するのではなく、事実、社員に対して義務が課されることではないので、社員にとっての利点を説けば良い。それも、ストレスチェックは、社員自身がストレス度を自覚するという、強制することとは真逆の意図をもっているので、その点にハイライトすれば、むしろストレスを増幅させない。わけもわからず強要されることが、一番、ストレスを生む原因になるので、なぜ、11月末に急に案内することになってしまったか、背景を正直に書くことが、社員のためだ。
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逆効果な催促や指示
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