カタルーニャの独立を支持しているのは州民の半分で、もう一方の半分はそれに反対していることも読者は知っておく必要がある。
なにしろ、大使館を開設するには巨額の資金が必要である。にも関わらず、カタルーニャ州政府は全国でも財政赤字がトップレベルの自治州のひとつでもるのだ。その上、大使館の開設は違憲であるのは憲法裁判所の判決を待たずとも明白である。それを承知で、今も大使館の開設を続ける考えに常識では理解できない。
しかし、カタラン人は中々の才覚者で、また商売人でもある。1992年にバルセロナでオリンピックを開催したが、あの当時だとスペインの首都マドリードでは開催できるだけの組織力も能力もなかった、その意味でカタラン人はスペインの中でバスク人と同様に一歩も二歩も先を行っている。その意味において、カタラン人がやることには常に目には見えない何か意義をもってやっているような気が筆者にはする。
<文/白石和幸 photo by
Aero Pixels on flickr(CC BY-SA 2.0) >
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。